１９８８年、クリスマス目前の１２月２１日、英国の医師ジム・スワイアの自宅では、長女のフローラがニューヨークの彼氏に会いに行くため荷造りをしていた。家族に見送られパンナム航空１０３便に乗り込んだフローラは周りの乗客たちと楽しく過ごすが、機内サービスの飲み物をもらおうとしたとき、機体が激しく揺れる。その後、スコットランド国境地域の小さな町ロッカビーには、轟音とともに飛行機の破片が降り注ぎ……。

パンナム航空１０３便が爆破されてから１年と５カ月。ジムたちが要望するような調査は一向に行なわれず、ジムはいまだに脆弱な空港のセキュリティーを世に知らしめようと、偽の爆弾を作り旅客機に乗せる。亡きフローラのために何かしていないと気が済まないジムは、ジェーンに諭されて一度事件から離れ、かつて皆で過ごしたスカイ島を訪れる。そんな中、事件の容疑者としてリビア人２人が特定されたとの一報が舞い込み……。

２０００年５月、ついにメグラヒとフイマの裁判が始まり、ジムはユトレヒトに部屋を借りて傍聴する。がれきの中から爆弾のタイマーの破片を見つけた法科学者、そのタイマーと同じ型のものをリビアに納入していた会社の経営者、爆弾と同じスーツケースに入っていたと思われる衣服の販売店店主などが証言台に立ち、順調に被告人の容疑を証明していく。ところが店主に対する反対尋問が行なわれると雲行きが怪しくなり……。

２００１年１月３１月、判決の日。案の定、フイマには無罪の判決が下されるが、一方のメグラヒは終身刑を言い渡される。同年９月１１日、世間がアメリカ同時多発テロのニュースに騒然とする中、ジムはメグラヒの控訴が棄却されたことを知る。新たに出た証拠からメグラヒの無実を確信するジムは、２度目の控訴が受理されたと知り、メグラヒのもとを訪ねて逆転無罪への協力を申し出るが……。

２００９年８月、メグラヒがリビアに帰国する。闘い続けると約束していたメグラヒが訴訟を取り下げ、人知れず姿を消したことにショックを受けるジム。メグラヒのトリポリの住所と電話番号を入手するが、何度かけても電話はつながらない。ジムは自宅で受けた取材の中で、メグラヒを「２７１人目の犠牲者」と表現する。そんな折ジムは、リビアが石油の見返りにメグラヒを釈放するようイギリス政府を脅していたという情報を入手し…。