ロンダリング

緋山鋭介（藤原丈一郎）は売れない俳優。スターを目指して大阪から上京したが、端役ばかりで収入はわずか、その日暮らしの毎日を過ごしていた。 そんな彼は死者の声が聞こえるという特殊能力の持ち主だった。しかし、霊感があるわけでも霊の姿が見えるわけでもなく、霊とコミュニケーションがとれるわけでもない。 それ故に、家賃が格安の事故物件にうっかり飛びついては死者の悲痛な声に悩まされ、転居を繰り返す引っ越し貧乏に陥っていた。 ある日、またも事故物件をつかまされた鋭介は、苦情を訴えようと家を仲介した『アマミ不動産』へ。すると、鋭介の能力を知った社長の天海吾郎（大谷亮平）に思わぬ場所に案内される。そこは、5年前に女性がベランダから飛び降りて自ら命を断ったという高級マンションの一室で…。

特殊能力を買われ、『アマミ不動産』の事故物件ロンダリング専門スタッフとして雇われることになった鋭介（藤原丈一郎）は、さっそく故郷の大阪に飛ばされる。 渋々ながら大阪に戻った鋭介は、天海（大谷亮平）が用意した新居を見て絶句する。それは、寂れた町に建つ荒れ果てたゴミ屋敷。再開発予定地にあることから、天海が値上がりを見込んで手に入れたその家には、前の持ち主が残した家具やガラクタがあふれていた。ゴミ屋敷を憮然と眺める鋭介に、怪しげな若い男（橋本涼）が声をかけてきた。 まもなく鋭介は、事故物件ではないはずのゴミ屋敷で、この世の者ではない女の声を聞く。その声に導かれて家の奥に進んでいくと、そこには白骨死体が…。

家の中で話しかけてくる女の声の正体も掴めないまま、引き続きゴミ屋敷で暮らすことになった鋭介（藤原丈一郎）。 そんな中、鋭介は大阪に着いた初日に声をかけてきた怪しい男（橋本涼）に再会。「P.J.」と名乗るその男は、報道もされていない白骨死体のことをなぜか知っていて…。 翌日、鋭介は大阪に来て初めてのロンダリングを天海（大谷亮平）から命じられる。現場は事件や事故の記録が一切ないマンションの一室。しかし、借主の獏良あゆ（春名真依）によれば、夜になると心霊現象が頻発しているという。 『アマミ不動産』の悪評を広めるとゴネるあゆをなだめるため、鋭介は蒼沢夏凜（菅井友香）とともに問題のマンションへ…。

心霊現象が起こるとクレームのあったマンションの部屋で鋭介（藤原丈一郎）が耳にしたのは、「私はレイラじゃない」と訴える女の苦悶の叫びだった。さらに、この部屋のことをゴミ屋敷の女の声が知っていたうえに思わぬことを言い出し、鋭介を混乱させる。 鋭介はこのことを夏凜（菅井友香）に報告。2つの声が話した内容から、部屋に隠されたある秘密を嗅ぎ取った夏凜は、過去の全賃貸契約者の素性を調べる。 そんな中、P.J.（橋本涼）が経営するガールズバーに招待された鋭介は、P.J.に尋ねられるまま霊の声のことを話す。鋭介の話をからかい半分で聞いていたP.J.だが、ゴミ屋敷の女の声が「ここにいた」と言っていたことを知って表情が一変。鋭介を強引に促し、問題の部屋へと乗り込む。

鋭介（藤原丈一郎）の初のロンダリングは大成功。 まもなく、天海社長（大谷亮平）から新たなロンダリングの仕事が舞い込む。物件は、地元の有力地主・西大路絹代（宮田圭子）が所有する共同住宅。老朽化のため取り壊しを始めたが、現場に出入りした解体業者がひとり残らず原因不明の体調不良で倒れ、工事が進まないという。 夏凜（菅井友香）と調査に向かった鋭介は、共同住宅に着くなり老人の声に襲われる。一方、夏凜には異様な光景が見えていた。 正体を突き止めるには夜を待つしかないが、夏凜は帰ると言って聞かず、不気味な共同住宅にひとり残されそうになった鋭介は大慌て。そんなとき、突然現れたP.J.（橋本涼）が…。

解体寸前の共同住宅で起こる怪現象を調査中、この世のものではない強烈な叫び声に襲われ気絶してしまった鋭介（藤原丈一郎）。気を失ったまま見た夢の中で、不思議な光景を目にする。 翌日、『アマミ不動産』に出社した鋭介は、この奇妙な夢を夏凜（菅井友香）に報告。その帰り道、見知らぬ男（和田正人）にいきなり路地裏に連れ込まれ、ゴミ屋敷で何をしているのかを執拗に問い詰められる。 一方、鋭介の話が気にかかり、再び共同住宅を訪ねた夏凜は、P.J.（橋本涼）に声をかけられる。夏凜は、鋭介にこれ以上近づくなと釘を刺すが、P.J.は自分よりも天海社長（大谷亮平）を警戒するべきだと忠告する。