ある日突然、養子であることを知った少年が、自分の出生の真実を知るなかで、産みの母や育ての母の本当の思いを知り、成長してゆく物語。両親の愛情に包まれ、お人好しでフツーな19歳の浪人生、山瀬健太はある日突然、自分が養子であることを知ってしまう。健太は出生の真実や産みの母を知りたいと、特別養子縁組の仲介をおこなったNPO「スマイルベビー」を訪れる。そこは、様々な深刻な事情を抱えた妊婦たちが身を寄せる駆け込み寺的な場所だった。

母親の恋人による性虐待で妊娠をし、心と体に深い傷を負った高校生麻子とお腹の赤ちゃんを救うべく、特別養子縁組を仲介するNPO代表の貴子と麻子の担任教師が奔走する。身勝手な大人たちによって傷つき、救いようのない不幸の中にいる麻子の光になるものは、一体何なのか。

特別養子縁組あっせん団体「スマイルベビー」代表、奥田貴子が助けたのは妊娠9カ月で野宿をしていた坂本まどか。自販機の下で硬貨を拾いインスタントラーメンを食べ、公園の水を飲んで生活していた。貴子が保護したにもかかわらず、現金欲しさに「産んだ子を養子にすれば出産まで月々15万円もらえる」と謳うネットを使ったあっせん業者、野々垣俊に鞍替えしてしまう。

NPOスマイルベビー主宰の奥田貴子が出会ったのは、昔、最愛の母に捨てられるという、辛い過去を持つ村上友。一度は結婚したが、妊娠をきっかけに離婚。再婚するも、元旦那との赤ちゃんを育てることはできないと言われ、貴子を頼り、我が子を特別養子縁組に託そうとする。一方、車いすで生活をする川畑健二と妻の真希は、不妊治療に臨むが、なかなか子供に恵まれず、産婦人科で提案された「精子提供」にするか「特別養子縁組」で子供を受け入れるか悩んでいた…。「特別養子縁組」によってつながれた3人の母の「命のバトン」。それぞれの家族が選ぶ「家族のカタチ」とは…。