太宰治の短編集を、満島ひかり、森山未來など、個性豊かな出演者が新進気鋭のクリエーターとコラボし映像化。実写だけではなく、アニメ、CG、クレイアニメ、切り絵などバラエティーに富んだ手法で、破滅的で甘美な太宰ワールドに迫る。
エピソード1
女生徒
「けさ、電車で隣り合わせた厚化粧のおばさんを思い出す。ああ、汚い汚い。女は嫌だ…」70年前(第二次大戦勃発時)とは思えない“女子高生のブログ”のような作品。漠然とした「ムカつき」や大人への生理的な嫌悪感。「“みんなを愛したい”と涙が出そうなくらい思いました。」無垢で清浄なリリシズムがリアルで美しい。現代のコギャルの心に突き刺さる。女子高校生が思春期に持つ、少女と大人の心のグレーゾーンを美しい風景と共に表現。
エピソード3
きりぎりす
「おわかれ致します。」いきなり結論から始まる離縁状で“女性文体”の傑作。亭主たちの胸に突き刺さる。売れない頃の一途な夫が好きだった。 でも、売れてお金のことばかりを気にするようになった夫には、もはや魅力を感じないばかりか、ある種の憎しみさえ覚える・・・そんな複雑な女心を表現。
エピソード4
トカトントン
「拝啓。一つだけ教えてください。困っているのです。」という印象的な手紙の冒頭文で始まる、ずいぶんと風変わりな痛切な告白。今、まさに人生が良くなりそうな大切な瞬間に、自分の耳元で鳴る「トカトントン」というふざけた音。あと少しで手に入れられるはずの幸福が遠のいていく。“戦後体験に基づく悲痛な独白”とも受け取れるが、未来への希望を見失う現代人の心にも深く突き刺さる。 「トカトントン」は一体どんな音がするのか?
エピソード101
お伽草紙より カチカチ山 トカトントン 女生徒 きりぎりす
若く美しい兎(満島ひかり)に惹かれる一途な狸を描いた「カチカチ山」を始めとする太宰の4作品を映像化。
エピソード102
走れメロス 畜犬談 グッド・バイ
友人を救うために命をかけて走るメロス(森山未來)。太宰の代表作である「走れメロス」を始めとする太宰の3作品を映像化。
走れメロス
太宰治の作品の中では、「人間失格」に次ぐ国民的小説。。 “メロスは激怒した。必ず邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。 メロスには政治がわからぬ。” という有名な冒頭文。人間不信の王を見返すために、自分を信じて疑わない友人の命を救うために、メロスは走る!太宰の中でも珍しく後味の良い爽快感溢れる名作。
長嶋甲兵