密告はうたう 警視庁監察ファイル

警視庁捜査一課の刑事･佐良 (松岡昌宏) は、ある殺人事件の捜査中に後輩刑事の斎藤 (戸塚祥太) を殉職で失い、組織内部の不正を取り締まる人事一課監察係に異動となる。同僚からは敵視され、孤独に業務をこなす日々。そんななか、元同僚で斎藤の婚約者でもあった、皆口 (泉里香) の不正に関する密告文が人事一課に届く。佐良は上司の能馬 (仲村トオル) に命じられ、係長の須賀 (池田鉄洋) と皆口の行動確認 (尾行) を開始する。

激しい葛藤を抱えながらも皆口の身辺を洗い続ける佐良。皆口が裏の情報屋･佐々木 (アキラ100%) と接触していることが明らかに。さらに反社会的勢力と繋がりを持つ元組対課刑事の石黒 (木村祐一) や先輩刑事の宇田 (三浦誠己) の存在が浮かび上がってきて、一通の密告文に端を発した疑惑は、深まるばかり。能馬の冷徹な指示により行動確認を続ける佐良が辿り着いたのは、過去に佐良自身も関わったある未解決殺人事件だった。

情報屋の佐々木が斎藤とも繋がっていたことを掴んだ佐良。しかし直後、佐々木は殺害されてしまう。捜査一課時代の性根に立ち戻り、皆口の件と並行して独自捜査を始めるが、鑑識の北澤 (眞島秀和) らかつての同僚とは衝突、人事一課内でも叱責される、厳しい板挟み状態に。その裏では、宇田が密かに佐々木殺害犯と接触していた。その男は、未解決の目白駅殺人事件からの因縁を持つ滝本 (松浦祐也) という男だった。

佐良は目白事件との関連にアタリを付けるが、現場での捜査協力の最中、不敵にも姿を現した滝本により階段から突き落とされてしまう。更に二週間前、この捜査班に届いた怪文書の存在が明らかに。そこには過去の捜査の落ち度が仄めかされていた。居合わせた皆口と宇田の不可解な動きから、二人と滝本の間に何らかの繋がりがあるのではないかとの佐良の疑いは一層深まる。一方、皆口はある呼び出しを受け、夜の埠頭に向かうのだが…。

皆口、尾行していた佐良もろともに、宇田の不意の襲撃を受け倉庫に監禁される。海に沈められかけた皆口は、瀕死の状態。さらに、目白事件の真犯人であることが明かされた滝本も、宇田によって殺害され横たわっていた。佐良は命を賭して自首を促すが、宇田から語られたのは、自身の過去の捜査ミスの真相と、それを契機として彼を取り返しのつかないところまで追い詰め、今もってその正体が知れない、悪意と陰謀の存在だった。

「誰のことも信じるな」。宇田の遺した言葉が、手負いの佐良を孤独な捜査へと駆り立てる。鍵となるのは、三年前に宇田が投げ込んだ、自らを告発する密告文の行方。それを一度は闇に葬り、時を経て再び利用せんとした人間がいる。疑いの対象は、皆口のかつての上司で当時の人事一課に在籍していた堤 (鶴見辰吾)、そして能馬。警察官としての誇りと怒りを胸に、佐良は覚悟の行動へ。そして同時に辿り着く、斎藤の殉職の真実とは。