死神さん

1年前に発生した大塚資産家殺人事件の被告に無罪判決が下った。警察が立件して無罪になる確率は0.1%。つまり警察の大失態であった。当時、事件を担当していた刑事･大邊誠 (小手伸也) はすでに別の案件を追っていた。それが、立て続けに毒ガス･爆弾騒ぎを起こしていたエンジェル伊藤と名乗る愉快犯だ。その捕り物の最中に、大邊は奇妙な男に拘束されてしまう。その男は「警視庁から来ました儀藤堅忍 (田中圭) です。」と名乗った。儀藤は、警視庁内で死神と呼ばれる、再捜査専門の刑事だった。大邊は儀藤に反発するが、次第に、その型破りな捜査に魅了されていき…。

事件は「車が盗まれ、夫が追いかけています。」という1本の通報から始まった。翌朝、通報者の夫は轢死体で発見される。現場で取り乱す妻･波多野百合恵 (広山詞葉) であったが、すぐに殺人容疑で取り調べを受ける事になる。そして、夫殺しを自供するが、裁判ではなんと無罪に。そこで、死神の出番である。儀藤堅忍 (田中圭) はパトロール中のミニパトの前に突然現れると、1人の婦警･三好巡査長 (蓮佛美沙子) を相棒に指名する。三好は警察のパワハラ･セクハラ体質にうんざりして退職する予定であったが、初めて捜査が出来るとあってノリノリで儀藤のパートナーとなる。百合恵と夫の間に愛があったのか? それとも無かったのか? 2人のコンビの推理合戦が始まる…。

痴漢容疑で逮捕されていた俳優･正岡柳次郎 (中山麻聖) に無罪判決が出る。無罪を勝ち取る決め手となったのは東晃弁護士 (駿河太郎) による、容疑者の両手が塞がっていた事の立証であった。その頃、最初に痴漢現場に駆け付けた生活安全課の巡査･榎田悟 (りんたろー。) は、今では、田舎の交番勤務に異動となり、のんびりと生活していた。そこに、儀藤 (田中圭) がやってきて、榎田を相棒に指名するのだが、榎田は拒絶した。そんな榎田に、1日だけでいいから、捜査に付き合ってみてくれませんか? と儀藤は懇願する。榎田は、渋々、儀藤と行動を共にすることになるが、関係者に話を聞くうちに、事件の裏で多くの人の人生が狂わされていることを知り、自分の責任の重さと、警察官として真実を明らかにする義務がある事に気づき始め…。

金町北署が押収物として保管していた現金4000万円が盗まれた。署内の保管室に日常的に出入りしていて、事件後に金遣いが荒くなったという噂の会計課の警察官･桑山蘭 (入山法子) が捜査線上に浮かび上がるが、桑山は取り調べ前に自殺してしまう。儀藤 (田中圭) は、警視庁人事課の陣野澄香警視正 (長谷川京子) を相棒に指名して再捜査を始める。陣野は一貫して桑山が犯人で再捜査は意味がない、というスタンスであったが、儀藤と捜査を進めるうちに、金町北署のずさんな捜査に気が付き始める。そして、桑山は犯人なのか、それとも犯人に仕立て上げられただけなのか、迷い始める。さらに陣野は、自分が出世のために、小さな不正には目を瞑り、上の言う事に従っていると儀藤に指摘され、桑山と昔に交わした約束を思い出す。

エンジェル伊藤事件の容疑者として逮捕された南川メイ (前田敦子) の元を儀藤 (田中圭) が訪れるが、儀藤にメイの事件を再捜査するつもりなど毛頭なく、メイは憤激する。儀藤が気にしているのは東祖師谷児童誘拐事件。儀藤が再捜査の相棒に選んだのは、既に警察官を退職していた米村誠司 (竹中直人) という元刑事であった。米村は誘拐捜査の最中に、容疑者として浮上した事もある、いわくつきの人物でもあった。誘拐事件にはいくつかの不審な点があった。誘拐された児童の父親･河田徹 (野添義弘) が犯人と裏取引して子供を取り戻していた事。事件が明るみに出たのは、子供を取り戻した後に、警察署にかかってきた通報電話であった事。河田はカルトまがいの集団の指導者であった事などであった。

エンジェル伊藤が起こした6番目の事件と言われている湖尻勇樹殺人事件の容疑者として逮捕された南川メイ (前田敦子) が釈放され、儀藤 (田中圭) の相棒として事件を再捜査する事になる。警視庁の上層部は儀藤に何でも協力するからどうにかして事件を解決してほしいと懇願し、捜査環境を整えると提案するが儀藤は必要ないと拒否をする。メイが逮捕されたのには理由があった。メイいわく、独自にエンジェル伊藤の事件を調べている中で、事件現場の規則性に気づいた、というのだ。儀藤は6番目の事件だけ、規則性が変わっていることに気づく。「この事件には美しさがない」儀藤は事件の真相に近づいていくが、それすら真犯人の計画の上にあった…。