少女ラッカが夢から目をさますと、そこには頭に光輪をかざし、羽を生やした少女達が迎えてくれる。 壁に囲まれ、灰羽連盟に守られているグリの街の暮らしは仲間とふれいあいながら、過ぎていく。 不思議で幸せすぎる毎日だが、言伝えによれば灰羽はその時がくると壁の外に飛び立たねばならないという。 どうして灰羽になったのか。自分が何者だったのか。穏やかなグリの街の生活を続ける中で、やがて自分の、そして仲間の謎が明らかになっていく―――。
エピソード1
繭・空を落ちる夢・オールドホーム
ラッカ、灰羽の仲間となる。落下していく、夢。その夢から覚めると、そこには灰色の羽を持ち背中に羽と頭に光輪を持った少女たちが迎えてくれるのだった。落下する不思議な夢。繭の中で少女、ラッカは目覚める。繭から誕生?したラッカを待っていたのは「灰羽(はいばね)」と なのる、天使のようなワッカと灰色の羽をもった少女たちだった。新しい仲間を歓迎する少女達、興味津々な灰羽の子供たち。リーダー格のレキは状況もわからず困惑するラッカに光輪を授け、同志として迎えるのだった。その夜、ラッカにも羽が…
エピソード2
街と壁・トーガ・灰羽連盟
ラッカ、不思議なグリの街を仲間と歩く。グリの街、そこは壁に囲まれ灰羽連盟に守られた謎多き街であった。仮面商人トーガと話師、謎の街のアナザーサイドが… 熱も収まり、落ち着いたラッカはこの不思議な世界の様子を眺めている。廃虚のようなオールドホームの建物、その南棟の孤児院ではレキが子供たちの面倒を見てる。灰羽はそれぞれ仕事を持ち、オールドホームをねぐらとしている。羽の生えた身体にあわす服を求め、人間の住む街の古着屋の向かうラッカ達。灰羽はお金を持てず、服代のかわりに手帳にサインをするだけで 支払いは灰羽連盟がしてくれるという。この街では灰羽はその団体に守られた特殊な存在らしい。街の市場ではトーガと呼ばれる壁の外からの行商人と話師(わし)と呼ばれる 灰羽連盟の人間がまるでセリのように指で文字の形をつくっては、取引をしている。トーガには灰羽はおろか、街の人間も近づくことが許されないらしい。謎多きこの街は来訪するものまで完全に隔離されている。
エピソード3
寺院・話師・パンケーキ
ラッカ、灰羽手帳を入手。灰羽手帳を取りに、初めて灰羽の寺院に向かうラッカ。そこは会話の許されない世界、戸惑いながらも手帳を手にするが…仲間に支えられたオールドホームの楽しい生活が始まるラッカは灰羽連盟に呼ばれ、初めて寺院へ向かう。灰羽手帳をもらい、これで完全にグリの街の住民となったが まだ仕事の決ってないラッカはレキの部屋を訪れたりオールドホームの子供達の世話を手伝う。するとラッカからパンケーキの匂いがすると子供達が騒ぎだし、一斉に「パンケーキが食べたい!」の大合唱。仕方なしにパン屋でバイトしてるヒカリの店へ買い物に出かけるラッカ。街へ向かう道中、クウと合流する。クウは年長組、最年少のため仲間の手伝い仕事をしてるが、れっきとした先輩。得意げに街を案内するクウだが、ピントのぼけたガイドぶりに苦笑するラッカだが無邪気で純真なクウがラッカの不安を少しだけ和らげてくれる。
エピソード4
ゴミの日・時計塔・壁を越える鳥
就職みならいのラッカ、初めての職場見学 灰羽は働かなくてはならない、しかし何をしたらいいのかもわからない、カナの働く時計塔の職場を見学するラッカ。朝、不思議な夢にうなされて目がさめたラッカ。まだここが現実なのか? 灰羽となった自分の境遇に実感がわかない。灰羽は街に守られている分、必ず仕事につかなくてはならない決まりとなっており、その仕事を決めるために今日はカナの仕事を見学する日。グリの街の真ん中に位置するカナが勤める時計屋。出勤時間に遅刻してきたカナに親方の厳しい声が飛ぶ。職人かたぎの親方にあぜんとするラッカだが、カナとともに与えられた仕事を始める。ひと仕事が終り、カナはラッカを時計塔の上につれていく。そこからラッカはグリの街を守る壁を目にして自分がいる世界、そして人間との関係を知るのだった。
エピソード5
図書館・廃工場・世界のはじまり
職探しシリーズ第2弾! ネムといっしょに図書館へネムの働く図書館を手伝うラッカの心をとらえたのは、古くてぼろぼろの「世界のはじまり」という絵本…。ネムが働く図書館でにやってきたラッカ。ネムの長年の相棒のスミカ(人間)は出産のため、図書館を去ることになっている。ネムは記念にプレゼントを用意しようと頭を悩ませていた。明るく優しいスミカにふれ、ラッカはネムのプレゼントに協力を申し出る。そのプレゼントはネムとスミカがかつて二人で解読しようとした古い絵本、「世界のはじまり」の読めなくなった先の物語を完成させ、それを装丁してプレゼントしようとしていたのだが、なかなか物語の結末が見つからない。灰羽たちにとっても自分たちがなぜ、ここに生まれたのか? この世界はいったいどういう世界なのか? 疑問に思うのと同様に、この閉ざされた街の人間、スミカも外の世界を知りたがっていた。 結局、街での幸せを選んだスミカへ、かなわなかった夢の想い出としてその絵本を送るという灰羽たち。ふたりが書き上げる絵本はどんな物語になるのか…?
エピソード6
夏の終わり・雨・喪失
日曜日の朝、地図を片手にオールドホームの中を見て回るラッカ。灰羽としてひとりだちする第一歩として、自分の部屋を見つけようとしているのだ。どこもほこりだらけで適当な部屋を見つけることができずにさまようラッカに声をかけたのはクウだった。思いがけず、クウからプレゼントをもらったラッカ。冬用のコートだった。自分には大きすぎるからというクウ。大好きなはずのホットケーキの朝ごはんの場にもあらわれなかったり、ラッカにお勧めの部屋を教えたりするクウに、ラッカは漠然とした不安を感じはじめる…。その午後。ラッカの不安に影響されたかのように、天気は雨模様に変わり、雷が鳴りだした。やがて落雷のせいでオールドホームは停電になる。 なにかがラッカ達の日常におころうとしている…。
矢島晶子
宮島依里
徳永愛
折笠富美子
村井かずさ
広橋涼
野田順子
ところともかず
安倍吉俊