中学卓球界では、9年連続全国大会優勝の凰堂学園が敗れるという大波乱が起きていた。群雄割拠の覇権争いが始まりつつある中、市立雀が原中学校卓球部のランキング1位に君臨するエース・上矢あがりは、その座を誰にも渡すまいと日々努力を重ねていた。しかし転校生・旋風こよりにより、そのランキングは大きく変動していく……。
こよりは校内ランキング4位のムネムネとの試合を経て、部内随一のテクニックをもつ出雲ほくとや超攻撃型プレイヤーの天下ハナビといった、ランキング上位者との試合を次々に繰り広げる。こよりの実力が明らかになっていく中、あがりはこよりの台頭に当惑し、彼女に対してそっけない態度をとるようになってしまう……。
「旋風さん。私と、勝負して」。ついに始まる、雀が原中学卓球部現エース・あがりと、転校生・こよりの試合。あがりは得意とするドライブ戦法でこよりを圧倒していく。勝利を確信するあがりだが、彼女が目にしたのは満面の笑みを浮かべながらラケットを振るうこよりの姿だった。次第に激しくなる二人のラリー。そしてついに決定的な一打が放たれた。
雀が原中学卓球部に誕生した二人のエース、こよりとあがり。校内ランキング上位を目まぐるしく入れ替えながら、お互いを更に高めあう二人の姿に勢いづく卓球部。そんな折、足の怪我で一時部活を離れていた部長・後手キルカが復帰することに。キルカは復帰早々、部員たちに自分との試合を申し渡す。
一見、飄々としてとらえどころのないキルカ。しかしその実力は部内随一のカットマンだった。怪我のハンディをものともせず、悠々と勝ち進んでいくキルカに闘志を燃やすあがり。全国大会出場の夢を込めた渾身のスマッシュがキルカに迫る。そんなあがりの覚悟に胸が高鳴るこよりは、もっとドキドキしたいと新たな決意を固める。
ほくととハナビは小学校からの幼馴染。実家が卓球用具店を営むほくとは、ラケットのラバーを見極める目を持っていた。最近不調のこよりの原因も、ラバーの寿命によるものだという。そこで新しいラバーを得るため、こよりはほくとのお店でお手伝いをすることに。慣れない仕事に悪戦苦闘のこより。一方あがりも、そんなこよりが心配で……。