空の覇者、龍<ドラゴン>。その存在は多くの地上の人々にとっては脅威・災害であり、同時に薬や油、そして食用としての価値がある“宝の山”でもあった。そんな龍<ドラゴン>を狩る存在がいた。捕龍船を操り、空を駆け、龍を狩り、旅をする。彼らは「龍捕り」。これはその中の一艇“クィン・ザザ号”とそのクルー達の物語である。
エピソード1
クィン・ザザ号
捕らえた龍を解体し、それを売って、旅をする…今はその数も少なくなった、現役の捕龍船クィン・ザザ号。新人のタキタは、ミカ達ベテラン船員の鮮やかな龍(おろち)捕りを目の当たりにし息を飲む。その後、一行は早速近くの市(まち)に降りて龍の肉や油を人々に売り捌く。久々の地上で、船員たちはほっと一息。だがそれも束の間、新たな龍が現れ、隣市(となりまち)が危険との情報が! やがて遭遇した龍は、クィン・ザザ号に対してやけに好戦的な態度を示す。その理由とは…?
エピソード2
賞金と極小龍の悪魔風
クィン・ザザ号に乗り込んでから3ヶ月経ち、新人のタキタも少しずつ仕事に慣れてきた。そんな彼女が甲板でひとり風に当たっていると、手すりに奇妙な鳥が。…いや、違う。龍だ! 鳥のような小ささでも龍は龍。捕まえればかなりの儲けに違いない!! タキタは甲板から船内へと紛れ込んだ龍を密かに捕獲しようと奮闘する。しかし、なかなか見つけられずにいるうち、ギブスが何者かに襲われ負傷。事態は船全体を巻き込んだ、大騒動へと発展する。
エピソード3
光る龍と
捕龍船といえども、龍と戦ってばかりではない。空の上にも平時の職務はある。見張り台の当番をしていたジローは、天測で雲行きが怪しいことに気がついた。そんなこととは知らず、非番の者は賭けに興じたり、二日酔いでへばったり、古くなった龍の肉を燻製にしたりと、自由きままに過ごしていた。しかし、船の責任者と会計士は頭を抱えていた。このまま龍が捕れなければ大赤字!! しかもジローの見立て通り、船の前方には嵐を伴う巨大な雲が迫りくるのだった!!
エピソード4
乗船理由と龍のテリーヌ
タキタが偶然見つけた一枚の紙。そこには眠るヴァナベルの艷やかな姿が! こんな絵を描くために女の寝室に忍び込むとは…けしからん! 状況証拠で絞り込まれた容疑者候補は3人。船員たちは面白半分で犯人を絞り込もうとするが、ヴァナベル本人はといえば、馬鹿げた騒動を気にすることもなく、物思いに耽っていた。そこに現れた中型の龍。戦いの最中、ミカの姿にヴァナベルが感じたものは――。
エピソード5
空中海賊とパストラマ
大きな市(まち)での久々の補給を目前に、浮かれた調子のクィン・ザザ号の船員たち。ここのところ龍をほとんど捕獲できておらず、航行中のほぼ唯一の楽しみである食事もすっかり貧しい内容で、体も心も疲れきっていた。稼ぎの少なさは気になるところだが、それでもどこかにとどまっての休みは喜ばしい。しかし、海上で貨物船の救難信号を見つけたことから、事態は急転直下。ザザ号は貨物船を救出しようとするが、そこに一隻の飛行船が現れる。その正体は――空中海賊だった!
エピソード6
祭りと龍肉の手延べ汁麺
港市(みなとまち)クオーンに、クィン・ザザ号は補給と船の修理のために降り立った。一仕事終えた船員たちの多くは、久々の陸(おか)を堪能しようと酒場へ繰り出す。そんな中、ミカは初めて龍の解体を経験したことで心ここにあらずなタキタ気遣い、一緒市(まち)に向かう。そして、「千剖士(せんぼうし)」という龍を解体・加工して暮らす一族を訪ねる。そのころ酒場では、ザザ号と他の船の龍捕りのあいだで乱闘が勃発。ジローはその騒ぎから、カーチャという名の可憐な少女と出会う。
雨宮天
古川慎
花澤香菜
前野智昭
斉藤壮馬
吉平直弘