保険事業を行なう財団法人に勤める笙子は、実家の目の前にある消防の詰め所が放火され、その現場の調査で消防団員の大林と再会する。大林とは半年前に役場の合コンで知り合い、仕方なく一度だけデートに応じたが、大林の態度に嫌気がさし、食事をしただけで逃げるように帰ってしまった苦い過去があった。この再会後、笙子が担当する地域で不審火が相次ぐ。やがて笙子は、自分と会いたいがために大林が仕組んだ放火なのではと疑い始める。

お伊勢参りツアーに参加した小学校教師のミチルは、バスガイドが小学校のクラスメイト・律子だと気づく。ミチルは、自分を覚えていない様子の律子を前に、小学生時代の狭い町で起きた忌まわしい出来事を思い出していた。ミチルは、転校生の律子と親しくなり、家にも遊びに行くようになった。だが、律子の母親は窃盗の常習犯だった。被害に遭っていた町の大人たちは警察に突き出すことはないが、どこか律子一家とは距離をとっていた。そんなある日、買物から帰宅したミチルたち家族は、信じられない光景を目撃してしまう。

地方都市にあるショッピングモールにいた主婦の良枝はふと生後10カ月の娘・咲良がベビーカーごといないことに気づく。子どもが出来たことをきっかけに、都心から1時間圏内に家を購入したが、都心で働いていた良枝には、この土地には知り合いがひとりもいない。夫も非協力的で元の勤め先の友人たちも仕事が忙しく、遊びに来るお客もほとんどいなかった。「育児から解放されたい」、「子どもがいなければ・・・。」と自由を懐かしむことも日に日に増していた。そんな中で起きた“出来事”だった。果たして、良枝は最愛の我が子を取り戻せるのか。