ABC殺人事件

1933年のロンドン。往年の名探偵エルキュール・ポワロのもとに、差出人の名が「Ａ．Ｂ．Ｃ．」とイニシャルで記されている奇妙な手紙が届く。不吉に感じたポワロはロンドン警視庁のクローム警部に相談するが、取り合ってもらえない。そしてある日届いた手紙には「3月31日、アンドーバー」と書かれていた。ポワロは独りでアンドーバーに向かうが、悪い予感が的中。すでに事件が起きていた…。

ABCという差出人からポワロのもとに奇妙な手紙が続き、Aの（アンドーバーでのアリス・アッシャー殺害）事件と、Bの（ベクスヒルでのベティ・バーナード殺害）事件が起きた。次はCと思われたが、ABCからの手紙はなかなか来ない。実はポワロの隣人の家政婦が誤って持っていき、届くのが遅れたのだ。手紙には「4月10日。Cはチャーストン」とあり、ポワロは急いでチャーストンのクラーク家に電話するが…。

ABCDとアルファベット順に起きた殺人事件は未解決のままだった。そしてまた、イニシャルがEのエンブジーでE・エドワーズが殺される。ポワロは遺品に“ツインクル・トーズ”のストッキングを見つける。アッシャーが履き、ベティが絞殺された際に使われた、あのストッキングだ。ポワロがツインクル・トーズの製造会社を訪れると、販売地域ではないロンドンから注文があったことを聞く。依頼主はアレキサンダー（A）・ボナパルト（B）・カスト（C）であった…。