主人公の人間キノと言葉を話す二輪車エルメスは、世界をあちこち旅している。世界のあちこちには個性豊かな国があり、人々は自分たちなりの法や常識をもって暮らしていて、キノとエルメスはそんな国々を訪れ、基本的に3日間だけ滞在し、また次の国へと旅立っていくのだ。そんなキノとエルメスの旅の話は、時に優しく、時に哀しく、時に滑稽で、時に胸に突き刺さる。そして、珠玉の物語たちは、一言では言い表せない鮮烈な光景を私たちに見せてくれるのだ。“美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい”世界を。
エピソード1
人を殺すことができる国
旅の途中、キノとエルメスは若い男と出会う。すぐ先にある国に移住するつもりだという若い男の話によると、そこは法律で殺人が禁止されておらず、凶悪な犯罪者も逃げ込んでいるらしい。しかし、その国に立ち寄ったキノとエルメスが目にしたのは、穏やかに暮らす人々と平和な街並みだった。
エピソード2
コロシアム
前から訪れたいと思っていた国に到着したキノ。すばらしい国と聞いて期待していたのだが、王の代替わりによって何もかも変わってしまっていた。人々は働かず、賞品目当てのならず者や、事情を知らぬ旅人までもコロシアムで戦わせ、見世物にしているという。キノは自らの意思でその戦いに参加することに。
エピソード3
迷惑な国
キノがハンモックで一休みしていると、突然地面が揺れた。揺れは次第に大きくなり、巨大な灰色の城壁が現れる。動く国の姿に驚愕するキノとエルメス。キノが試しに手を振ってみると、動く国はキノに入国するかと尋ねてきた。応じたキノたちは歓迎され、常に移動しつづける動く国で数日を過ごすが……。
エピソード4
船の国
“船の国”と呼ばれる国に入国したシズと陸。海に浮かんだその国は、大陸の間を移動しながら交易し、仕事と引き換えに旅人も運んでくれるのだ。国の長から掲示された仕事は民衆の監視だったが、シズは彼らと共に働きたいと希望。それは受け入れられ、案内人としてティーという名の少女をつけられる。
エピソード5
嘘つき達の国
冷たい風が吹く初冬。とある国で三日間の滞在の許可を得たキノとエルメスは、恋人の帰りを待ち続けているという男と出会う。彼と別れた後、町の住民たちから歓迎されるキノたち。そこで、恋人の帰りを待つ男が国の英雄であったこと。そして彼のために、人々がある嘘をつきつづけていることを知る。
エピソード6
雲の中で
高い山々が連なる中、旅の一団が野営をしていた。裕福そうな一行は、暖かな恰好で笑い合い、夕餉の支度をする。そんな中、黙々と働く一人の少女がいた。ボロをまとったその少女は、皆から罵倒され、馬鹿にされても、誰も恨まず憎まず、ただ真面目に働くが……。
悠木碧
斉藤壮馬
梅原裕一郎
松田健一郎
緒方恵美
水瀬いのり
佐倉綾音
興津和幸
田口智久