すべて忘れてしまうから
あなたの関節を全部折ります
シーズン1 エピソード3:
エッセイの連載を開始したミステリー作家“M”(阿部寛)は、編集者・澤田(渡辺大知)に言われるがまま、人生初のSNSを始める。「誰もフォローしてくれないかもしれない」というMの不安をよそに、フォロワーはどんどん増えていく。投稿する度に見知らぬ誰かの反応があり、MはすっかりSNSに夢中になっていく。そんなある日の夜、Mがトークイベントの告知をすると、すぐにフォロワーからメッセージが届いた。そこには「その日、あなたの関節を全部折ります」という脅迫文とも言うべき内容だった。Mは激しく動揺する。 翌日、澤田に相談するが彼は「大丈夫」の一点張り。相談しに行った警察署でも嘲笑され相手にされず、Mの不安は募る一方だった。その不安の中でMはふと思い立ち、今まで連絡を躊躇っていた恋人“F”に「どこにいる?」とメッセージを送ってみる。 いよいよトークイベント当日、対談相手・菊池亜希子目当ての女性客に紛れ込む一人の大柄な男。見るからに怪しいその男は、無表情でMを見つめ続ける。トークショー後のサイン会で順番が回ってきたその大男は口を開く。「昔からすごくファンで…」Mのデビュー作が載った小説雑誌にサインを求める大男。どうやらただの純粋なファンだったようだ。Mがサインをすると、大男は満足げに帰っていった。 何かを言うと、世界のどこかの誰かから返事が届く。関節を折られずに済んだMが”Bar灯台”で一息ついていると、Fからタヒチの画像が届いた。Fは今タヒチにいるのだろうか。 見慣れない美女(大島優子)が隣に座った。「私、実はさっきのトークイベントにいたんです」美女はそうおもむろに口を開いた。