わずか4本の映画を残し、29歳の若さで夭折した伝説的映画監督ジャン・ヴィゴの映画製作の影に、彼を支えた一人の女性、リデュの存在を知る人は少ないだろう。だが彼が撮った唯一の長編恋愛映画『アタラント号』は、彼女のひたむきな愛によって生まれた映画であり、ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠フランソワ・トリュフォー、ジャン＝リュック・ゴダールをはじめ多くの映画作家に影響を与えた。その天才的な映像を創造したジャン・ヴィゴの波乱に満ちた生涯、そして彼を支えた女性リデュとの秘められたラブ・ストーリーを真実にもとづき描いたのが本作『ヴィゴ』だ。フランスには映画作家の精神をたたえた＜ジャン・ヴィゴ賞＞が制定されており、ゴダールの『勝手にしやがれ』などが、同賞を受けている。