
ラスト・ソルジャー
名もなき兵士と、一国の将軍。迫りくる敵から逃げ切れるか!? 紀元前227年、戦国時代の中国。諸侯が領地を奪い合い、各地では争いが絶えなかった。ある時、衛(えい)の軍が梁(りょう)に攻め入ったが、鳳凰山で梁の待ち伏せに遭い、激しい死闘の末、両軍共に全滅した――かに思われた。そんな中、死んだふりをして生き残った梁の兵士は、衛の将軍を捕虜として捕まえることに成功する。将軍は剣術に長けた豪傑だったが、深い傷を負い身動きが取れなくなっていた。彼を捕虜として、兵士は自国へ連れ帰ることを決意する。捕虜を連れ帰れば畑と金を報酬としてもらえるのだ。しかも、相手が将軍であればたっぷりともらえることは間違いない。兵士はかつてない幸運に胸を膨らませた。それが、名もなき兵士と敵国の将軍との、奇妙な旅の始まりだった―。捕虜として捕まるくらいなら戦場で名誉の死を遂げるほうが本望だと考える将軍と、武力を嫌い、故郷での平和な暮らしを願う兵士という正反対な2人は、道中幾度となく対立を繰り返す。その度に兵士は、「戦いからは何も生まれない」と将軍を諭すが、将軍は全く聞く耳を持たない。一方、彼も将軍としてのプライドを兵士に話して聞かせるが、やはり兵士には理解ができない。どの局面でも対立し、平行線をたどりながら相容れない2人の旅は続く。彼らの行く手には山賊と化した農民や、謎の女、野性の熊などさまざまな障害が立ちはだかる。そして最大の敵、将軍の行方を追う衛の捜索隊が迫って来ていた。しかも、捜索隊の狙いは将軍の救出ではなく、暗殺だった!!報酬のためとはいえ、命がけで将軍を守る羽目になった兵士。窮地に立たされた2人はいつしか、敵・味方の垣根を越え、協力して逃走を図る。立場も考え方も異なる2人の間には、友情に似た感情が芽生え始めていた。「平和だったら友達になれたかもな」――。果たして兵士は捜索隊から逃げ切り、将軍を生かしたまま連れ帰ることができるのか!?
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