
長崎のある造船所に、フランスからマルサック技師 (ジャン・マレー) が赴任して来た。彼はキャバレーの女などには無関心だったが、堀技師長 (山村聡) に紹介された呉服屋の娘、乃里子 (岸惠子) に心惹かれた。彼女は弟妹の面倒をみながら、両親のいない店を切り盛りしている健気な女性。乃里子を通じて日本に興味を持ち始めたマルサックは彼女のフランス語の先生リッテル (ゲルト・フルーベ) の離れに住居を移した。リッテルの妻は乃里子の友人慶子 (浅茅しのぶ) である。すっかり外人の習慣を忘れているリッテルと同様日本の生活に融けこんでゆくマルサックに、乃里子も愛情を抱き始めた。そこへ、マルサックの昔の恋人で女流作家のフランソワーズ (ダニエル・ダリュー) が、東洋に取材の傍ら訪ねて来た。