アニタ：ディレクターズカット

1969年、遊園地の楽屋でこれからステージに上がろうとする子供の歌手が行方不明になる。遊園地の片隅では６歳のアニタが初対面の子供が木から風船を取るのを手伝っていた。その子は風船を取るとお礼も言わずに去った。姉のアンに促され、アニタは急いで楽屋に戻り仕事の準備をした。幼い頃から、２人は生活のために遊園地のステージで歌っていた。

アニタのキャリアが軌道に乗り始めた頃、日本のスーパースターと出会い、一目で恋に落ちた。アニタはステージを愛するのと同じように、頻繫に飛行機に乗ってでも恋に溺れた。アニタは彼にふさわしい女性になろうと努力した。アニタの師匠であるエディは、有名人も心からの愛に生きて良いと勇気づけた。一方、来たるコンサートの準備が本格化してきたアニタは、香港に戻るように促される。

アンの結婚を知ったアニタは、孤立し酒に溺れた。心でつながっているアンは、アニタの気持ちを完全に理解していた。レスリーはアニタに引退を考えていると告げた。長年の仕事に疲れたアニタにも休息が必要だった。親代わりのレナード・ホーに会った彼女は、恋人でアクション俳優のベンとの結婚の話をする。レナードは何も言わずに、ほほ笑んで映画の台本を渡す。

エディの訪問を受けたアニタは、自分のキャリアと人生を見つめ直し、神から授かった才能と名声を大義のために使えると気付いた。立ち直った彼女はかつて求めたものに背を向け香港に戻った。新たな情熱を実行に移し、社会福祉、中国人コミュニティーの貧困救済、あらゆる募金活動など、アニタはますます多くの時間を慈善活動に費やすようになった。その寛大さは多くの人に称賛された。

SARSが街を飲み込み、医療従事者も含めて死者が激増した。悲しみに負けずアニタは音楽業界を巻き込んでコンサートを開催した。香港スタジアムで開催されたこのコンサートは、患者のための募金と最前線の医師への支援を目的とした前例のない取り組みだった。その夏SARS患者の急増はようやく収束に向かったが、アニタの状態は悪化の一途をたどる。彼女は医者に日本に行きたいと懇願する。