三匹の侍

流れ流れてとある村にたどり着いた三匹の侍。例によってフトコロの寂しさから用心棒に雇われたが、水争いに巻き込まれてしまう。この村では村出身の農民と侍出身の農民が水をめぐって激しく争いを続けていた。橘（加藤剛）桜（長門勇）はそれぞれにつき、二人の間にはさまれた桔梗（平幹二朗）が一人苦労していた。やがて水争いは一層激しさを加え、村出身の農民はどこからか鉄砲を手に入れ、桜の止めるのも聞かずに使い始めた。

とある辻堂で恐るべき殺気を感じる三人に出会った桔梗。その足で城下にやってきて居酒屋にいると先程の三人が現れ、そこで酒を飲んでいた匂坂道場の門下生・室山をあっという間に切り倒してしまった。一人が顔をぶち割り、一人が心臓を突き刺し、もう一人が両膝を切り裂く、という残忍な殺し方に桔梗は、ガク然とするのだった。

女郎宿で遊んだものの、その金が払えない三匹は、桜を借金の人質としておいてゆくことにした。桜が選択をさせられたり、ある女郎の旦那になりすまして、恋仇きの男に殴られたり、借金のカタにしては荷が重すぎると心細くなりかけた頃、女郎宿に遊びに来ていた悪徳役人を懲らしめたことから女主人・ともえにぞっこん惚れ込まれ、用心棒として雇われる事になった。

ある港町にやってきた三匹。そんなある夜、橘は船乗り風の男が情け容赦なく殺される場面を目撃した事から、恐るべき剣の使い手である呂床作十郎を知り、さらに呂床が港に停泊している麝香丸の宰領であることも知る。この非情な殺人者を追って麝香丸に忍び込んだ橘は、この船が密貿易船であることに気付く。

桜は、二足の草鞋のやくざ稼業に嫌気がさし、十手を預かろうと必死になっている鉄五郎に大金を出され、理由もわからないまま協力を約束した。しかし、鉄五郎が、この地の名主・吉兵衛と共謀し、牧場主が苦心して作りあげた牧場を取りあげようとしているのに腹を立て、それを守る為に立ち上がった。桜に裏切られた鉄五郎は、ある計画を思いつき、一人で牧場主の息子・源太の小屋へ向かった。

山辺藩の山中で多くの野盗と浪人の死体を見つけた三匹。そんな時、橘が一人の絶命寸前の山伏に一つの砂袋と「砂金採掘目録」と書かれた帳面を隣の西田藩にとどけてほしいと頼まれた。三匹はそれぞれの内幕は違うが、山辺藩家老・九鬼の用心棒となり、人々から砂金のでる裕福な藩といわれている山辺藩と周辺の藩の砂金をめぐる戦いにまきこまれていった。だが、砂金と思っていたのはただの砂だった。