1971年の夏。岐阜県の田舎町でちいさな食堂を営む楡野一家は、新たな命を授かっていた。胎児の母・晴(松雪泰子)は、やってくる陣痛に大騒ぎ。父・宇太郎(滝藤賢一)は、愛する妻の手助けもできずにオロオロするばかり。同居する、宇太郎の父・仙吉(中村雅俊)と母・廉子(風吹ジュン)も、孫の誕生を今か今かと待ちわびる。一方、胎児は親の思いも知らずにおなかの中で調子に乗って暴れまくり、思わぬ事態に…。
分娩(べん)室に入った晴(松雪泰子)だが、なかなか子どもが出てこない。女医・貴美香(余貴美子)の診察によると、へその緒の二重巻きで、予断を許さない事態になっているという。病院の待合室では、老舗写真館の和子(原田知世)も出産を迎えようとした。いよいよ晴が産気づいた時、和子も陣痛が始まる。小さな病院で大騒動の末、無事に二人の赤ちゃんが産声をあげる。それは二人の赤ちゃんにとって、運命の出会いだった。
同じ病院で同じ日に生まれた2人の新生児。ひとりは難産の末に生まれた、晴(松雪泰子)と宇太郎(滝藤賢一)の女の子。もうひとりは安産で生まれた、和子(原田知世)と弥一(谷原章介)の男の子。分娩(べん)台を独占してしまった晴は、おむつを手みやげに和子のもとを訪れるが、そこで男の子に“律”という名前がつけられたことを知る。田舎では珍しいしゃれた名前にショックを受ける晴は、わが子の命名に闘志を燃やし始める。
1980年。小学校3年生になった鈴愛(矢崎由紗)は天真らんまんそのもの。勉強は苦手で授業中もノートに落書きをしてばかり。一方、同じ日に生まれた律(高村佳偉人)は頭脳明せきで冷静沈着。良き幼なじみとして二人は成長した。ある日鈴愛は最近元気がない祖父・仙吉(中村雅俊)と亡くなった祖母・廉子(風吹ジュン)を糸電話で話させてあげたいと言いだす。実現させるために律は長距離糸電話を考案。壮大な実験が始まる。
妻を亡くしてからふさぎがちな祖父・仙吉(中村雅俊)のため、律(高村佳偉人)と「川をまたぐ糸電話」大作戦に取りかかる鈴愛(矢崎由紗)だったが、川の広大さを目の当たりにし、ぼう然と立ち尽くす。一方、鈴愛の両親・晴(松雪泰子)と宇太郎(滝藤賢一)も仙吉を鼓舞しようとするがうまくいかない。そんな中、鈴愛たちは同級生の手を借りて糸電話を対岸まで渡すことに成功。対岸の律に向かって、鈴愛が全身全霊で声を届ける。
糸電話の実験に成功した鈴愛(矢崎由紗)たちだったが、誤って律(高村佳偉人)が川に落ちてしまう。ぜんそくを患う律を案じて、鈴愛は律を背負って家に届けるが、律の母・和子(原田知世)は、なぜか律を叱り始める。そのころ、自転車で転倒した仙吉(中村雅俊)に付き添って晴(松雪泰子)が岡田医院を訪れる。大事には至らなかったが、院長の貴美香(余貴美子)も仙吉を案じる。夜、晴は鈴愛に糸電話をめぐるある秘密を話す。
永野芽郁
Suzume Nireno
佐藤健
Ritsu Hagio
松雪泰子
Haru Nireno
滝藤賢一
Utaro Nireno
中村雅俊
Senkichi Nireno