女優の杏子は、目下ドラマの共演相手・君塚と“熱愛中”。マスコミにスキャンダラスにとりあげられても、「相手役に恋をしないといい芝居ができない」と平然としていた。 そのドラマの収録が終了。杏子は君塚に、「ドラマが終われば恋も終わり」と、あっさり別れを告げる。 その夜、杏子はふらりと入ったバーで、若い女性を連れた父・裕次郎と会う。裕次郎は悪びれもせずに、次から次へと愛人をつくっていた。 杏子は横浜の実家を出て一人暮らしをしていた。 そこへ、母・朝子のつかいで、友子という女性が訪ねてくる。友子は、リュウマチを患っている朝子のホームヘルパーだった。
友子に好感を持った杏子は、友子をドラマの撮影現場に招待する。 そこで、細やかな心配りのできる友子のことがますます気にいった杏子は、友子に自分の付き人になってほしいときりだす。 両親を早くに亡くした友子は、親代わりの兄・勇に相談。警察官の勇は、介護福祉士になるという友子の夢を優先すべきだと反対する。 友子は杏子の付き人の話を断る。 が、杏子の寂しそうな顔に、思わず引き受けてしまう。 友子は有能な付き人だった。そんなある日、杏子が狙っていたテレビドラマの主演が、ライバルのかすみに決まりそうになる。
杏子は、ドラマ化が決定した「愛の流氷」の原作者宗方に接近。杏子らしい体当たりのやり方で、主役の座を獲得する。ヒロイン役を強引に杏子に奪われたかすみは、悔しがる。 それからまもなく、杏子と宗方の不倫写真が写真週刊誌に掲載される。杏子はレポーターたちに囲まれても、動じることなく宗方との関係を肯定する。 友子は杏子の行動に、度肝を抜かれることが多かったが、兄の反対を押しきって、マネージャーの仕事を続ける。 杏子の相手役のオーディションが行われる。 審査員たちが決定した青年を、杏子は拒否。劇団に所属している竜介を、強力に推薦する。
プロデューサー・井上らの反対を押しきって、杏子は相手役に竜介を選ぶ。 まもなく、ドラマの立ち稽古が始まる。新人の竜介は思うように演技ができず杏子やディレクターから容赦のない叱責がとぶ。 そんな竜介を、心配そうに見つめる友子。 ドラマ「愛の流氷」がスタート。 が、視聴率はあがらず、杏子への辛辣な批評も耳に入る。 杏子の所属する事務所の社長・孝枝は、三十六歳という杏子の年齢を気にかけ、今は新人・千乃の売り込みに力を入れる。 そんなある朝、友子が杏子のマンションへ迎えにいくと、杏子は睡眠薬を飲んで倒れていた。
杏子が睡眠薬の飲みすぎで、病院へ運ばれる。お酒と一緒に飲んでいるうちに量がわからなくなったという。 病院にレポーターがつめかけ、自殺未遂かと騒がれる。皮肉なことに、その翌日から、ドラマの視聴率が急に上がり始める。 まもなく、杏子が退院。ドラマに復帰する。竜介の演技は日毎に上達し、プロデューサーらからもほめられる。 杏子も満足し、竜介を部屋に招待する。 が、宗方からも誘われ、杏子は宗方に会いにいってしまう。 翌日、宗方とのデートから帰ってきた杏子を、竜介が待ちぶせ。いきなり抱きしめる。
竜介が杏子に愛を告白。その熱情に押しきられ、杏子は竜介と一夜を過ごす。 その二人を目撃した友子は傷つく。友子は密かに竜介に思いを寄せていたのだ。「愛の流氷」の収録が全て終了。竜介は杏子への思いを募らせるが、杏子は最早竜介に何の関心も示さなかった。 孝枝が杏子に新しいドラマの仕事を持ってくる。また不倫ものなので、嫌がる杏子。 が、なんとか説得して、引き受けさせる。 そのドラマが急にホームドラマに変更。主役はかすみ、準主役に千乃が決まる。 孝枝の事務所に、竜介が入る。孝枝は千乃の相手役に竜介を売りこむ。杏子には内緒だった。