妻が夫をおくるとき
脚本家・橋田壽賀子が「今まで生きてきた中で、これ以上の苦しみはなかった」という"夫との別れ"を描く自叙伝的ドラマ。1989年に亡くなった橋田の夫・岩崎嘉一氏との別れを綴ったこの作品は、登場人物も実名で登場する。夫婦の絆とは何か、夫婦はどうあるべきなのかが、橋田自らの脚本で描かれている。 主演は、妻・橋田壽賀子役に岸本加世子、夫・岩崎嘉一役に大杉漣。そんな2人の様々な関係者を中村梅雀、小泉孝太郎、薬師丸ひろ子、神田正輝、泉ピン子らが演じる。 【ストーリー】 橋田壽賀子(岸本加世子)が63歳、橋田の夫・岩崎嘉一(大杉漣)が59歳の秋。「それ」はあまりにも突然のできごとだった。 岩崎は定年を迎えたと同時に大手術をした。その後1年以上にも渡るリハビリを経て、夢だった畑作りをしながら好きな仕事をやりたいと、東京と熱海での暮らしを始めた頃でもあった。胸の痛みを訴え、病院での検査から帰った岩崎は「左の肺に影があるらしいので、検査入院しろと言われた」と橋田に告げる。橋田が付き添いを申し出ると「大河ドラマを引き受けた君は1日も無駄にしてはいけない」と、岩崎は断るのだった。 そんなある日、東京に原稿を届けに行った橋田は、大河ドラマの制作助手・竹田(小泉孝太郎)と共に岩崎を見舞うことに。病院で明るく2人を出迎えた岩崎とは裏腹に、担当医・大原(神田正輝)からは残酷な検査結果が伝えられる。岩崎は手術できない癌に侵されていて、持ってあと半年だという。病気と戦うことも出来ず、延命しか残されていないと知った橋田は、「ある決断」を下す・・・。