お袖(岸本加世子)は昼は楊枝を売り、夜は地獄宿で働きながら、2年前に民谷伊右衛門(役所広司)と駆け落ちした姉・お岩(坂口良子)と、祝言前に置き去りにした夫・与茂七(南條豊)を捜していた。四谷の長屋でひっそり暮らしていた伊右衛門とお岩は、伊右衛門の仕官だけが唯一の希望だ。しばらくして、お岩・お袖姉妹の父・左門(下元勉)は、伊右衛門を斬ってお岩を連れ戻す。左門はお袖と江戸へ出たものの、体調を崩して思うような生活ができずにいた。 一方、お先手組与力筆頭・伊藤喜兵衛(藤岡琢也)の1人娘・お梅(大場久美子)が伊右衛門を見初める。喜兵衛は、わが子を可愛がるあまり、伊右衛門の身辺を洗い、公金持ち逃げ脱藩の事実まで調べ上げた。伊右衛門は博打仲間の宅悦(矢崎滋)から、仕官の口があると知らされ、喜兵衛を訪ねる。だが、喜兵衛は伊右衛門に、お岩と別れてお梅と祝言をあげるのが仕官の条件と告げ、それができなければ旧悪を暴くという。進退窮した伊右衛門は・・・。