都でも名の知れた大侠・玉麒麟 (ぎょくきりん) ――その正体は、江湖に憧れるじゃじゃ馬娘の顔知夏 (がん・ちか) だった。ある日、彼女に“裏の仕事”の依頼が。しかし、依頼人である宦官の王 (おう) が金を支払わずに姿を消したせいで、知夏は借金を背負うことに。約束の金を取り立てるため、宮中に忍び込んだ知夏だったが…。
「どうか私が選ばれないように尽力を」――皇帝の側仕えになりたいかと聞かれた顔知夏 (がん・ちか) は即答した。目の前にいる厳錦 (げん・きん) こそが皇帝陛下その人なのだが、知夏は彼を御前侍衛だと信じ込んでいるのだ。一方、知夏の答えにムッとした厳錦は、彼女の勘違いにつけ込んでからかってやろうと悪戯心が湧き起こり…。
実は厳錦 (げん・きん) が皇帝だったと知り、茫然自失の顔知夏 (がん・ちか)。厳錦はそんな彼女を前にして、なぜ知夏――三宝 (さんぽう) を側仕えとして指名したかを語り始めるのだった。同じ頃、知夏の父・一航 (いつこう) は、投獄された林 (りん) 丞相の孫で、娘の許婚でもある晏清 (あんせい) のもとを訪ねていた…。
厳錦 (げん・きん) の婚姻――それは権勢をふるう太后とその従兄である龔野 (きょう・や) 大将軍にとっては、将来を左右する大問題。密談を重ねる2人は、龔野の娘・止月 (しげつ) を妃とし、今後も厳錦を自分たちの思いどおりに操ろうと画策するのだった。一方の厳錦は、先頃耳にした三宝 (さんぽう) についての噂話が頭を離れず…。
「こんな所へ何をしに来た?」。林珂 (りん・か) は、目の前に現れた孫・晏清 (あんせい) の姿に驚き、そう問いかけた。しかし、答えは明白である。濡れ衣を着せられた林丞相を、力ずくで救い出しにきたのだ。そこに、もう1人の人物が。皇帝・厳錦 (げん・きん) の“師匠”である。その言葉に、今度は晏清が驚く番だった…。
幼なじみである厳錦 (げん・きん) への想い――ひと度戦場に出れば怖いものなしの龔止月 (きょう・しげつ) だったが、彼も同じように自分を想ってくれているかどうか、不安と期待に揺れていた。龔野 (きょう・や) はそんな娘の心を利用し、厳錦が妃を迎える意思があるかを探って太后に報告するよう、娘に命じるのだった…。