蔵の宿

神尾茜 (田中美奈子) はその仕事ぶりが認められ、勤務するホテルのサブマネージャーに抜擢される。喜ぶ茜のところに、母･信江 (櫻町弘子) から、父･蔵岡才治郎 (長門勇) が倒れたとの電話が入った。茜は、夫･修平 (池田政典) とともに、故郷･福井に駆け付ける。なんとか父の病状はもち直したものの、信江は茜に家に戻って来てくれないかと頼む。その言葉に茜の心は揺れる。

茜はホテルの仕事に復帰するが、職場では次々にトラブルが起きる。失意の茜のもとに、再び父･才治郎が倒れたとの報せが。以前からホテルのサービスのあり方に限界を感じていた茜は、宿泊客にあたたかいサービスを提供できる宿をつくりたいと父に相談。すると才治郎は実家の酒造の一部を改装して旅館にする事を許可した。父の決断に茜は福井への帰郷を決意。夫･修平は驚くが、自分が勤めるビール会社が利益第一主義なことに日々、嫌気がさしており、茜と福井で、心のこもった酒を造りたいと言う。

茜は実家･福井への引っ越しを済ませ、旅館開業の準備を進めるが、早くも障害が。叔父･幸田耕三 (田口計) が倉岡酒造の乗っ取りを計画、旅館「増田屋」の主人と結託し、茜を妨害し始めたのだ。ある日、帳簿をつけていた茜は、使途不明金が二百万円ほどある事に気付く。蔵岡の従業員･仁科陽子 (藤吉美加) が金を使い込み、一人娘の未久 (栗田麻衣) を残し逃げてしまったのだ。

病床の父･才治郎 (長門勇) が「蔵岡は茜 (田中美奈子) に継がせる」と明言し、茜が蔵岡を担う事が決まった。蔵岡の乗っ取りに失敗した耕三 (田口計) だがまだあきらめない。酒造の改装工事の棟りょうを買収し、工期を遅らせるよう細工する。一方、修平 (池田政典) は杜氏の島田 (川合伸旺) に仕事を手伝いたいと申し出るが断わられた。茜は修平が蔵岡に受け入れられないのが気がかりだ。