ロンドンでは、ハングリー精神旺盛な若きデザイナーや写真家、スタイリストたちが現状を変えるために影から姿を現す。若者やマーク・ジェイコブスはグランジスタイルを愛し、ハイファッションを嫌う。エドワード・エニンフル、アレキサンダー・マックイーン、ステラ・マッカートニー、そしてケイト・モスは限界を押し上げ、ロンドンをファッションが盛んな地として世界に再認識させる。そしてパリの名門メーカーたちから声が掛かるようになる。

ヒップホップスタイルがファッションを席巻するのは、簡単な道のりではなかった。ハーレムにあったDapper Danが警察により閉店に追い込まれる中、LL・クール・JはヒップホップブランドのFUBUをGapの宣伝で持ち出した。しかしスヌープ・ドッグがトミー ヒルフィガーを着てゴールデンアワーの番組に出演すると、それに続いてミッシー・エリオットやメアリー・J.ブライジが「ゲットー・ファビュラス・スタイル」を取り入れるようになり、名門メーカーやVOGUEもヒップホップスタイルの影響を無視できなくなる。

90年代の終わりまでには、エンターテインメント業界の成長が進み、ファッションも取り込まれることになる。革新的なドキュメンタリー『Unzipped（原題）』から、大人気テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』まで、テレビ画面を通してファッションを目にする機会が増えた。 アナがメットガラを資金集めのイベントから世界が注目するイベントに変身させたのは、まさに栄光と言える。