「どんどんドーナツ! どんと行こう!」。上山高校アニメーション同好会のあおい、絵麻、しずか、美沙、みどりは、いつか共に商業アニメーションを作ろうとドーナツに誓った。そして、二年半後。かつて夢を掲げた手には無骨なハンドルが握られている。あおいは、アニメーションの制作進行として今日も精一杯駆け回っていた。回収からスタジオに戻り、見回すと人の気配が消えている。不審に思った彼女が会議室のドアを開くと――。
4話の制作状況が逼迫し、慌てるあおい。3話作画監督の遠藤にヘルプを直訴し、やり取りの末、なんとか承諾を得る。だが、一難去ってまた一難――。4話のダビングに出向いたあおいは、監督と演出家のリテイクに対する応酬に胸を騒がせることに。声優の演技に触発された監督の注文は、音付けから次第にエスカレートし、絵に対するものへと矛先を変えていく。そしてあおいは、監督から発せられた、信じられない一言を耳にした。
4話作業に加えて、9話進行も任されているあおい。新人ゆえ慣れない作業に戸惑いつつ、ひとつひとつ整理し進めていく。だが、デスクの本田に状況を問い詰められると、思わずアワアワ。なんとか矢野の助け舟でパニックを脱するも、宅配業者が原画を持ってこなかったり、アニメーターからのカットが上がらなかったりとてんてこ舞い。とはいえここまではどんな新人制作でも経験する、よくあるトラブルだった。そう、ここまでは。
「ああ~ん、いいですわ~!」、電車の中で怪しげなセリフを呟く少女。しずかは人生初オーディションへの道中、小声で練習を重ねていた。緊張の中アフレコスタジオ内で待機していると、超売れっ子声優の姿が見える。同じ役を受けるという事実に、さらなるプレッシャーを感じるしずか。何度も練習してきたというささやかな自負さえも気負いに繋がってしまう。そして、いよいよオーディション本番! しずかは意を決して立ち上がる。
事件は武蔵野アニメーションで始まった――。太郎は遠藤の怒りの原因を、あおいへと語り出す。作画で描かれるはずの見せ場カットを、、監督が「3Dに変更しようか」と言いだしたと言いだしたことが発端だった。その旨は太郎から、該当カットの原画担当だった遠藤へと伝わる。だが伝達の際、口に出た余計な一言が、遠藤をカチンとさせた。遠藤と3D監督の下柳との間を行き来する太郎。伝言ゲームは次第に悪い流れになっていき……。
遠藤との一件は、あおいの担当話数にまで波及する。手の打ちようがなくなり、ついにデスクの本田へと相談。監督判断となるも、その監督がスタジオを抜け出してしまい、収集がつかない。遠藤本人も捕まらず、太郎が自宅まで赴くことに――。事が大きくなっていく中、あおいは、学生時代一緒にアニメを作り、今は下柳と同じく3DCGを生業とする会社で働く美沙に現状を相談する。そこで美沙から出た言葉は、驚くべきものだった。
檜山修之
Seiichi Kinoshita
中原麻衣
Yuka Okitsu
木村珠莉
Aoi Miyamori
吉野裕行
Taro Takanashi
高木渉
Masato Murkawa