学園祭まであと一月と迫った秋の日の夕暮れ。崩壊した軽音楽同好会の最後の一人、北原春希は、放課後の窓際で学園祭のステージを目指してギターを弾いていた。それは、二年半ずっと真面目に過ごしてきた優等生が、卒業までの半年間に成し遂げようとした、ささやかな冒険。けれど、その拙いギターの音色に、流れるようなピアノの旋律と、鈴が鳴るような歌声が重なったとき……一人からふたりへ、ふたりから三人へと重なっていった新生軽音楽同好会の、夢のような、夢であって欲しかった半年間が始まった。(C)PROJECT W.A.2
エピソード1
WHITE ALBUM
学園祭を一月後に控えた秋のある日、北原春希の所属する軽音楽同好会は美少女ボーカル柳原朋の引き起こしたトラブルによりバンド崩壊の危機を迎えていた。新メンバー集めに奔走しようとする春希だが、そんな騒動の最中にも関わらず、学園祭実行委員会のトラブルにまで巻き込まれてしまう。そこで春希が出会ったのは、学園祭の目玉イベント、ミス峰城付属のエントリーを辞退しようとしている、二年連続女王の小木曽雪菜だった。
エピソード2
隣り合わせのピアノとギター
屋上で歌う雪菜の歌声に魅せられてしまった春希は、なんとしても彼女を軽音楽同好会の新メンバーとして迎え入れようと画策する。しかし目立つことを嫌う雪菜を口説き落とすことは困難を極める。そんな中、同好会にさらなる難題が持ち上がる。春希がキーボード担当として勧誘しようとしていた『第二音楽室のエリート君』は、実は音楽科の生徒ではなく、どこのクラスの誰ともわからない、正体不明の謎の人物だったのだ。
エピソード3
軽音楽同好会、再結成
『第二音楽室のエリート君』が、実は隣席の不良娘、冬馬かずさであることを知った春希は、持ち前の厚かましさを発揮してかずさを軽音楽同好会に勧誘する。しかし持ち前のお節介が仇となり、ますます彼女の態度を硬化させてしまう。そんな春希の奮闘を見かねた……いや、見過ごせなかった雪菜は、春希に秘密でかずさに近づく。校内でも有数の美少女二人が初めて言葉を交わしたとき、そこに生まれるのは友情か、それとも……
エピソード4
SOUND OF DESTINY
4話目にしてようやくメンバーの揃った軽音楽同好会は、いよいよ二週間後の学園祭ライブに向けての練習を開始する。そんな綱渡りにも程があるタイトスケジュールの中、かずさは、一番の不安要素である春希のギターを徹底的に鍛えるために、ある秘策を用意する。特訓の甲斐もあって、ついに一曲目『WHITE ALBUM』をマスターした三人。しかし春希は、その成功に浮かれるあまり、ほんの小さな、そして致命的な失敗を犯してしまう。
エピソード5
触れあう心
春希がずっとかずさの家に泊まっていたことを知ってしまった雪菜は、春希に対して、今まで自分の中でずっと隠していた、臆病で内向的な、かっこ悪い本性をさらしてしまう。しかし春希は、そんな雪菜の本質を、心の底から受け止める。わだかまりが解け、学園祭に向けて結束を深めていく三人。しかしそんな中かずさは、他の二人にも内緒で、寝食を忘れ、学園祭ライブへの『最後の悪戯』に没頭していた。
エピソード6
祭りの前
無理がたたり、学園祭ライブ二日前にとうとう倒れてしまうかずさ。春希は、かずさを看病しつつも、ギターの練習を続ける。そんな春希に向かい、熱に浮かされた(かもしれない)かずさは、自分と母親、曜子との間にわだかまる複雑な感情を吐露する。けれどその頃、ライブのリハーサルが行われていた体育館では、二人と離れ離れになってしまった雪菜が、生まれて初めて感じるステージ上の孤独感に恐怖していた。
水島大宙
米澤円
生天目仁美
寺島拓篤
中上育実
杉山紀彰
安藤正臣
丸戸史明