平凡な少女、愛はどこにでもいるダンサーである。親友である町とのダンサーとしての才能を見せつけられ落ち込む日々であったが、ある時彼女の才能の「秘密」を知ってしまう。それは、邪な術方により掌サイズまでされた天才たち「悪偶」の存在である。悪偶を持っているものは誰でも天才になれるのだ。悪偶を作る「裁縫師」となってしまった町を救うべく、愛は裁縫師と代々対立してきた「救済者」となる。
エピソード1
序曲
北京に暮らす16歳のバレエダンサー・愛と町。愛は前向きな努力家で心優しい少女だが、バレエの才能には恵まれていなかった。一方の町は美貌と才能を兼ね備えた天才ダンサーで、愛にとっては親友であると同時に、憧れの存在でもある。そんな町に対して、ときに妬ましさを感じて自己嫌悪に陥る愛だった。ある朝、愛は小さな本屋で奇妙な本を見かけ、その夜に作者である老人・羅正と出会う。羅正が言うには、その本『悪偶』を読めば、愛が「持っていないもの」がわかるらしいのだが……。
エピソード2
亡者の国へ
羅正から渡された本によって、町が宿す「悪偶」の存在を知ってしまった愛。邪悪な術によって人形に変えられた天才たちを救う「救済者」を名乗る羅正は、愛に自分たちへの協力を求めた。町の才能は「悪偶」によるものだと知ったことを町に告げ「もう二度と会わない」と宣言した愛を、町はとある場所に連れて行く。そこは悪偶を持つ者同士が、自分の求める才能を手に入れるために悪偶を交換しあうマーケットだった。そこで町は愛に、驚くべき提案をする。
エピソード3
すれ違いのデュエット
悪偶マーケットに足を踏み入れた愛は、そこで町から「自分の持っている悪偶をひとつあげる」と言われたのだった。愛は、町と裁縫師のマネー・シャーロックに羅正から渡されたお札を貼ろうとするものの、マネーに気づかれて失敗。間一髪のところに現れた羅正らによって、マーケットは火の海と化す。羅布の放った強烈な火炎にはマネーだけでなく、町にも襲いかかった――。呆然としながらもマーケットから避難した愛に羅正は、自分たちは悪偶を解放するための旅に出ると告げる。
エピソード4
ある救済者のヴァリアシオン
大火傷を負い、自分をこんな目に遭わせた愛への復讐を誓う町。エルバトに資質を見出された彼女は、裁縫師「クリスティ・ロス」として生まれ変わる。一方の愛は、町を必ず救うのだと心に誓っていた。そのために羅正らと行動を共にする決意をし、救済者「無艾小」となる。所変わって香港。中学受験を控えた少年・李白綿が、母の李純貞に連れられて、占い師ヒルソン・ロックの元を訪れていた。そして、その様子を見張る羅正らの姿があった。
エピソード5
悲しみのアダージョ
僧侶に変身した羅正がヒルソンのもとを訪れていた母子から話を聞いている頃、羅布は単身、ヒルソンの事務所に乗り込んでいた。事務所に火を放ち、ヒルソンを追い込む羅布。しかし駆けつけた羅正にきつく叱られ、罰としてその力を封じられてしまう。その後病院に運び込まれたヒルソンは、自分の顔を見て絶望したような様子を見せる。愛が悪偶を見ることのできる眼鏡で彼の姿を見ると、町と悪偶を繋いでいたものによく似た糸が映っていた。
エピソード6
眠れる城の情景
ヒルソンは傀儡の術で操られていただけと知った愛たちは、再び彼の事務所を訪れていた母子から話を聞くことにした。そこで、息子の李白綿は真の天才で、悪偶にされてしまう恐れがあるということが判明する。母の李純貞と羅正は、母子にヒルソンを紹介したという綿の父親・李剛の元に向かった。一方北京では、クリスティ・ロスが愛の足取りを掴むために、エルバトの手下たちと共に愛の部屋に侵入していた。
内田彩
芝崎典子
松井恵理子
M・A・O
井上喜久子