ドラマ１０ 八日目の蝉

同じ会社で働く秋山丈博との実らぬ愛の果て、野々宮希和子は子どもを産めない体になりました。同じころ、皮肉にも丈博の妻・恵津子が子どもを産みます。生きる望みを失った希和子はふらふらと丈博の家に忍び込み、愛する人の子ども・恵理菜を誘拐します。希和子は無邪気にほほえむ子に薫と名づけ、この子のためだけに生きようと決意しますが…。２０年後、成人した恵理菜＝薫もまた、恋人の子を身ごもっていました。[FICT](C)NHK

希和子がエンジェルホームに来て３年が経ちました。野菜を作り、パンを焼き、販売移動車で行商に行く日々。ある日、希和子は行商の途中、ルールを犯して息子に会いにいく久美に同行します。しかし、息子は久美をまったく覚えていませんでした。久美の深い悲しみに胸を打たれる希和子。一方、ホームはマスコミにたたかれ、教祖・ナオミエンジェルはホームの公開を宣言します。素性が明かされることを恐れた希和子は脱走を図ります。[FICT](C)NHK

希和子は文治への思いを封印します。久美も島に帰り、薫との平和な暮らしが続いていました。そんなある日、虫送りの祭りに出た希和子と薫の写真が新聞に大きく掲載されます。素性がばれてしまうという予感通り、希和子はついに捕まります。恵理菜＝薫を誘拐して５年半の歳月が流れていました。そして現在、希和子が捕まった時、何かを叫んでいたことを思い出す恵理菜＝薫。何を叫んでいたのか、なぜか無性に気にかかるのでした。[FICT](C)NHK

恵理菜＝薫は思い出を求めて、千草とともに小豆島（しょうどしま）に渡ります。しかし、収穫はなくあきらめかけた時、港の写真館で１５年前に撮った希和子と薫の写真を見つけます。フェリーに乗る寸前、年をとった文治とも再会。文治は希和子が捕まる時に叫んだことばを覚えていました。帰路、岡山の港に降りると、恵理菜＝薫と千草をじっと見つめる女がいました。それは出所し、この地に流れつき、港の売店で働く希和子でした。[FICT](C)NHK