徳川家康が江戸に幕府を開いてから六十年近く経った万治三年夏、仙台伊達藩の重臣三人、伊達姓を名乗る一門の湧谷館主・伊達安芸（伊東四朗）、江戸家老・茂庭周防（小林稔侍）、そして藩吟味役・原田甲斐（田村正和）が人目を忍んで密談を交わしていた。藩内に伊達六十二万石分割の噂が流れており、その真偽を確かめるためのものだった。噂は、伊達藩は石高を半減、残りの半分を藩祖・伊達政宗の末子で一ノ関三万石藩主・伊達兵部（笹野高史）に与えるというもので、兵部と幕閣の要人・老中筆頭の酒井雅楽頭（橋爪功）との間で密約が交わされていると囁かれていた。だが、何の落ち度もないのに、いかに幕府といえども、いきなり伊達藩の石高半減などムチャなことができるはずはない。にもかかわらず、甲斐は藩の前途に不吉なものを感じ取っていた。(C)テレビ朝日・東映