湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー

女優･藤吉弓香 (足立梨花) は、幼い頃から母親･佳香 (寺島しのぶ) の過干渉に悩まされてきた。親友･理穂 (山下リオ) の結婚式のために帰省した弓香は、同級生と再会し恋に落ち、新しいドラマの仕事も入り、順調に人生の歯車が回り始めたと感じていたが、佳香が、それらを裏でことごとく潰していったことを知る。弓香は、テレビのトークショーで母への鬱積した感情をついに爆発させた。

佳香は、女手一つで弓香を育ててきた。娘のためだと思ってやってきたことが、間違っていたのか。私は「毒親」だったのか。悩む佳香は、たまたま出会った地元の中学生の乃愛 (山田杏奈) から、「親子関係の卒業」という言葉を聞かされ、子離れを決意。しかし、弓香の過去の秘密を知るという女が現れ脅迫されてしまう。弓香が佳香の想いを知ることになった時にはもう時間は残されていなかった……。

ショッピングモールで正幸 (髙橋優斗) という青年による無差別大量殺人事件が起きた。取り調べが続くが、正幸は決して動機を語らない。そこへ幸奈 (清原果耶) という女性が出頭し「すべて私の責任です」と証言を始める。彼女によれば、正幸とは幼い頃同じアパートで暮らしており、二人は今も心が繋がっているという。当初は、彼女の告白を重要と考えていた弁護士たちだったが……。

涼香 (中村ゆり) は、おしぼり工場で働きながら脚本家を目指していたが中々芽が出ない。そこへ、新人シナリオ大賞入賞の連絡が入る。喜び勇んで授賞式に向かった涼香は、大賞受賞者の薫子 (山田真歩) に出会った。地味で不器用な薫子のことを内心馬鹿にしていた涼香だが、薫子が次第に世間で認められていく一方で、自分はプロデューサーにいいように使われるばかり。涼香は次第に焦りを募らせる。

小さいころから母に「優しい人」になりなさい、と言われて育ってきた明日実 (倉科カナ)。だから、学校でも会社でも、誰に対してもいつも優しく接してきた。今も、失敗続きの同僚･友彦 (浜野謙太) に、社内で唯一、丁寧に応対している。しかし、ある日、中途入社してきた淳哉 (奥野瑛太) に「誰にでも優しい人って、誰にも優しくない」と指摘され、明日実の中で、何かが変わり始める。

淑子 (伊藤歩) は、奔放な妹･有紗 (佐津川愛美) とは対照的に、地元を出ることなく40歳になるまで実家で暮らしてきた。今は、スカーレットと名付けた猫だけに心を開いている。よりによって町で妊婦が連続襲撃されるという物騒な事件が続く中、突然、東京から有紗が妊娠して帰ってきた。自分には厳しかった母親が妹だけには甘い。家の中の空気が変わっていく中、淑子の世界が崩れていく。