児童ケアセンターの児童心理司・氷崎游子(松雪泰子)は、酒乱の父親・駒田幸一(岡田浩暉)から虐待される女児・玲子(信太真妃)のことで胸を痛めていた。子どもに何かあってからでは遅いと真剣に仕事に向き合うが、それが周りからはうざったがられている。家に帰れば、アルツハイマー型認知症の父・清太郎(井上真樹夫)と、看病に疲れた母・民子(浅田美代子)の愚痴にぐったり。心の休まる場所がない。一方、桐明学院高校の美術教師・巣藤浚介(伊藤淳史)は、日々の目的もなく、美術を教えている。恋人の国語教師・清岡美歩(山口紗弥加)からは結婚を迫られているが、家庭を作ることに強い抵抗を感じていた。暇を見て自分の作品を完成させ、世の中に認められたい、画家として生きたいと夢見たこともあったが、才能の無さを自覚している自分がいる。ある日、浚介の住むマンションの向かいで一家心中事件が起こる。少年が、祖父と両親を惨殺し、手書きの遺書を残して自殺したのだ…。游子、浚介、馬見原光毅(遠藤憲一)は、それぞれ自分たちの問題と向き合いながらも、好むと好まざるにかかわらず、この事件に巻き込まれていく。 ※このドラマには自殺など視聴者が不快に感じる恐れがある場面が含まれています。当時の制作意図を尊重して放送当時のまま配信しますが、過去に辛い経験をされた方は、視聴を避けるか、信頼できる方と一緒にご覧ください。

少年らの奇襲に遭った浚介(伊藤淳史)は、大怪我を負った上に一時的に記憶を無くしてしまう。自分の名前さえ分からない浚介だが、なぜか「ヒザキユウコ」の名前が記憶に残っていて、病院のベッドの上で無意識のうちに何度も名前を呼んでいた。そして、ニュースで事件のことを知った游子(松雪泰子)が、看護師からの連絡を受けて病院にやって来た。すると、浚介は游子との会話から少しずつ記憶を取り戻す。さらに元教え子の鈴木渓徳(北山宏光)が見舞いにやって来たことで、記憶がどんどん鮮明になるが、どうしても恋人である美歩(山口紗弥加)のことだけは思い出せない。仕事よりも浚介の看病に専念したいと学校で宣言した美歩の心中は穏やかでない。游子にもついついきつい言葉を放つのだった。一方、馬見原(遠藤憲一)は出所した油井(谷田歩)が、妻・佐和子(秋山菜津子)に接触したことを知る。さらに綾女(水野美紀)からメールが届き、慌てて綾女のアパートへと急ぐが、綾女は部屋を引き払って姿を消していた。馬見原も綾女も油井の影を感じながら不気味な毎日を過ごしていたが、２人の知らないところで油井は確実に佐和子を苦しめていた…。ある日、浚介は不登校の生徒・実森勇治(岡山天音)のことが気になり家に電話をしてみると、母親のうろたえる声と後ろで勇治が暴れる音が聞こえた。そこで浚介は游子に助けを求め、勇治の家へと向かう。その頃、芳沢家でも浚介の生徒・亜衣(中村ゆりか)にある変化が起きていた……。

浚介(伊藤淳史)の必死の呼びかけで入学式以来、不登校だった勇治(岡山天音)が桐明学院高校にやって来た。ところが元担任の美歩(山口紗弥加)の心無い一言で、勇治は再び心を閉ざしてしまう。学校を飛び出し自宅に戻った勇治は、家中の物を母・智代(占部房子)に投げつけ、怯えさせる。そこへ游子(松雪泰子)と浚介が駆けつけると智代は「二度と関わらないで」と助けを拒絶。さらに游子に対し「子ども産んだことあるの？」と冷たい言葉を浴びせる。その瞬間、何かがぷつんと切れた游子は、実森家の相談役を山賀葉子(財前直見)に委ねることに。一方、馬見原(遠藤憲一)は妻・佐和子(秋山菜津子)が川に飛び込んだと連絡を受け、慌てて病院へと向かう。佐和子をまたも精神的に追い込んだことで、娘・真弓(篠田麻里子)の怒りが爆発。実の父である馬見原に「死神！」とつかみかかる。その頃、氷崎家には游子が呼んだシロアリ駆除の大野甲太郎(藤本隆宏)がやって来た。下見の当日、游子は不在だったが大野の下でシロアリ駆除の見習いをしている駒田(岡田浩暉)の姿が。その顔は何かを企んでいるようで…。そんな中、浚介の携帯に勇治からメールが届いた。絶望の中にも前向きな内容に、浚介は喜びを感じる。ところが、浚介が深夜に目覚めると、携帯に勇治からの留守番メッセージが残されていた。胸騒ぎを覚えた浚介は、慌てて実森家へと向かうが…。