地中海 再生する生命 の物語

25歳を迎えたメスのアカウミガメが、フランスの南岸を旅立つ。6ヵ月かけて地中海のほぼ全域を横断し、生まれ故郷であるギリシャのキパリシアに向かうのだ。嗅覚や味覚、地球の磁場を感じる能力などを総動員し、繁殖のために4000キロの旅をする。

地中海にすむあるマッコウクジラの家族は、45歳の母親に率いられている。母親は2ヵ月前にもオスの子どもを生んだばかりだ。フリーダイビングの世界チャンピオンのギヨーム･ネリーは、クジラを理解しようと地中海に潜る。最初はクジラたちに警戒されたが、やがて受け入れられた。

5年前に生まれたチチュウカイモンクアザラシ。アザラシ保護団体の「MOm (モム)」は、ギリシャ沿岸の知られざる洞窟内で、その子の誕生をカメラに記録していた。その子はやがて洞窟を出るが、浜に打ち上げられたためにMOmに保護され、その後、スポラデス諸島で放されていた。

35歳の長老フラミンゴが、スペインで冬を過ごしたあと、フランスのカマルグにある汽水性の湿地に渡ってくる。メスを誘惑しようと求愛のダンスを踊るが、もはや相手にはされない。群れの仲間からも注意を払われず、6月のある夜、猛禽類に襲われて死ぬ。

1年半を費やし、12ヵ国で撮影されたこのシリーズ。スタッフは最新の撮影技術と、自ら試作した機材を駆使し、地中海の貴重な自然をカメラに収めた。