一見平和な家族に見える黒沼家の人々を中心に、この家庭に起こる波紋を描いたシリアスなホームドラマ。家族に裏切られたと感じ、黒沼家を出て行こうとするヒロイン(浅丘ルリ子)。それを必死に止めようとする義理の息子は、ある秘めた思いを抱いていた…。当時26歳の三浦友和が息子を演じたほか、ヒロインの夫には三國連太郎が扮した。加藤治子、吉行和子、風吹ジュンらが共演。
エピソード1
第一回 二人の妻
黒沼謙造(三國連太郎)は17歳年下の朋子(浅丘ルリ子)と再婚した。次男の龍二(田島真吾)は血のつながらない朋子を13年間母として認めずに、反抗的な態度を取っていた。謙造もそれに対して何も言わず、朋子の理解者である長男の杉男(三浦友和)は痛々しく思っていた。そして、杉男はいつしか朋子に恋心を抱くようになる。 一方、謙造の前妻・恒子(加藤治子)は別れた夫と子供に一生会わない約束をしたが、謙造に仕事の情報を流し、龍二とも会っていた。朋子が一番信頼していた杉男までが恒子に会っていたことが分かり、ショックを受けた朋子は黒沼家を飛び出してしまう。
エピソード2
第二回 母の条件
家族全員が自分を裏切っていたと知り、朋子(浅丘ルリ子)は妻や母として尽くした13年間を無駄にしたと感じていた。黒沼家を出て高校時代の友人・時子(吉行和子)のマンションで過ごした朋子だが、外にいても家のことばかり考えてしまう。 そんな時、朋子を迎えに謙造(三國連太郎)が現れ、知人の通夜があるからその時ゆっくり話そうと告げていく。一方、杉男(三浦友和)は朋子に新しい人生を送った方がいいと告げる。 その後、朋子が喪服を取りに戻ると、龍二(田島真吾)が恒子(加藤治子)を家に連れて来ていた。傷つき怒りに燃えた朋子は、通夜には行かず再び時子のマンションへ戻り…。
エピソード3
第三回 夫婦のあやまち
朋子(浅丘ルリ子)は、時子(吉行和子)の編集の仕事を手伝うことに決めた。謙造(三國連太郎)も1ヶ月、朋子を預かって欲しいと時子に頭を下げる。 一方、杉男(三浦友和)は恒子(加藤治子)を疎ましく思っていたが、その反面、懐かしい気持ちが込み上げるのを押さえることが出来なかった。そんな時、あるきっかけで杉男は死んだ妹のことを思い出す。14年前、謙造が出張中だった夜に恒子は外泊し、幼い妹が肺炎にかかって死んでしまったのだ。恒子が家を出たのは、これが原因だった。恒子はその罪ほろぼしのつもりで、店の客から聞いた情報を謙造に流していたと話す。その事実を知った杉男は、朋子に言うべきか悩む。
エピソード4
第四回 愛情試験
朋子(浅丘ルリ子)は、時子(吉行和子)の会社で働き始める。ある日、その出版社に謙造(三國連太郎)が現われ、杉男(三浦友和)が事故を起こしたのですぐ警察へ行けと朋子に告げる。しかし、実際に事故を起こしたのは龍二(田島真吾)だった。取り調べの係員から家族を呼ぶよう命じられ、龍二が真っ先に連絡したのは恒子(加藤治子)であった。恒子の後に朋子も駆けつけ、2人は取調室で鉢合わせしてしまう。母親として呼ぶのならどちらか1人にして欲しかったと、朋子は杉男が止めるのも聞かずに再び去って行った。 その夜、時子のところへ舅の重光(志村喬)とその恋人・松子(宝生あやこ)が朋子を迎えに来る。
エピソード5
第五回 離婚届の値段
松子(宝生あやこ)と重光(志村喬)の優しい言葉も、今の朋子(浅岡ルリ子)には通用しなかった。ある日、謙造(三國連太郎)から松子の住所を確かめてくれと言われた朋子は、杉男(三浦友和)と共に松子の家を訪ねる。そこで2人が見たのは、家族から邪険に扱われてヒステリックになる醜い老女だった。実は、松子は狭い団地で息子夫婦と一緒に住んでいて、朋子が抜けた黒沼家に厄介になろうとしていたのだ。その正体を見た杉男は、重光に真実を教える。重光は黒沼家を出て結婚しようと言うが、家が目当ての松子は態度を急変させる。彼女の正直な振舞いに、自分も見習わなければと感じる朋子だったが…。
エピソード6
第六回 母と息子の関係
急死した松子(宝生あやこ)の初七日に、朋子(浅丘ルリ子)と重光(志村喬)は尾崎家を訪れた。だが、松子の息子夫婦の態度は冷たく、松子が死んだのは重光たちのせいだと言い出す始末。 そんな頃、謙造(三國連太郎)が重役昇進を決め、朋子を呼び出してそのことを報告した。そして、挨拶まわりをするにも訪問客を受けるにも、妻が家を出たままではどうにもならないと、朋子に家に戻るように言う。一方、恒子(加藤治子)は謙造が自分のもとにお祝いに来てくれなかったのに腹を立て、重光に重役になれたのは自分の情報のおかげだと愚痴をこぼす。それを知った朋子は謙造がますます嫌になり、怒った重光は謙造に「この家を出て行け」と言い放つ。