鉄(山崎努)と再会した主水(藤田まこと)は自分の命が殺し屋組織の競り市にかけられ、市郎太(大林丈史)が落札したと聞かされた。主水は命をねらわれる心当たりがなく、なんとか頼み人の名を知ろうとけんめい。やがて市郎太一味の手が主水に迫り、また主水が斬った盗賊の女房お兼(二宮さよ子)も襲ってきた。頼み人は与力の筑波(岸田森)で、盗賊の隠し金を手に入れようとして仕組んだ不正を見破られそうになったためのことだった。©松竹・ABC
検校の道玄(山本麟一)は高利で貸した金のかたにとった娘たちを売りとばしていた。その殺しが念仏の鉄(山崎努)のところへまわってきたが、実は道玄は鋳掛け屋の巳代松(中村嘉葎雄)の実兄だった。巳代松は仕事とはいえ兄を殺せないと悩むが、道玄は弟の必死の説得にも耳を貸さず、悪事を重ねていた。©松竹・ABC
三百両で旗本・沖田政勝が、寅の会の殺しの競り市にかけられた。玄達(今井健二)、念仏の鉄(山崎努)、大工風の伊三郎が最後まで競り合うが、結局、伊三郎に落札する。だが、伊三郎が手を下す前に、すでに政勝は殺されていた。しかも死因は念仏の鉄の得意ワザ“背骨折り”。掟を破る裏切り者がいる!--総元締・虎(藤村富美男)の冷酷な目は鉄にむけられた!!©松竹・ABC
ある日、おてい(中尾ミエ)と正八(火野正平)の二人が、小遣い稼ぎにと一見見なりのよい百姓のふところから胴巻をまきあげた。ところが胴巻には、二人の予想外の大金十三両と虎(藤村富美男)あての一通の封筒が入っていた。 実はこの百姓、餓死寸前の村を救ってもらうべくある人物の殺しを虎に依頼しに江戸にやって来たのだった。殺しの相手は霞の伊右ェ門(遠藤太津朗)と呼ばれる山賊の頭目で、奥多摩の山間部を絶大な力で支配する好色な男である。 伊右ェ門の支配下にある影沢村は、30年ぶりの大キキンに見舞われ、50人の村人は餓死寸前に追い込まれていた。庄屋の宗兵ェ(岩田直二)は、村を救う唯一の手段として村一番の美女・香絵(浅田奈々)を都に売る決心をする。しかしそんなある日、伊右ェ門の手下が香絵をさらってしまった。中村主水(藤田まこと)以下仕置人グループは、影沢村へ向けて旅立った。©松竹・ABC
女流棋士・初津(横山リエ)が殺された。旗本・疋田兵庫とその仲間が将棋に負けた腹いせに斬ったのだ。兵庫ら四人の首が“寅の会”にかけられた。一方、狂ったように将棋にとりつかれた兵庫は、詰め将棋の秘術・煙詰めの奥義を見きわめようと、将軍家将棋所の伊藤宗看(伊藤果)を訪ねる。ところがこの宗看こそ愛人で弟子の初津を殺された遺恨を果そうと、兵庫一味の殺しを頼んだ頼み人だったのだ--。©松竹・ABC
廻船問屋・鳴海屋の手代・佐吉(森下哲夫)は律義者と評判で、奉行所から表彰されるほど。ところが、かんのん長屋に住むおちか(清川虹子)は、仇のように佐吉を悪人呼ばわりし、主水(藤田まこと)も手を焼くほどだった。その矢先、寅の会の殺しの競り市に一両で佐吉がかけられたが誰も落札せず、この一件は頼み人に差し戻された。一方、おちかの娘おたよ(吉本真由美)は佐吉と恋仲で佐吉のもとへ走ってしまう。おちかは質屋の店先から三十両を盗んだ。やがて開かれた寅の会。再び佐吉がかけられ、その頼み料は三十両だった--。©松竹・ABC