17歳になるおちか(波瑠)は、ある事件をきっかけに心を閉ざし、事件のあった実家の川崎宿を離れ、叔父・伊兵衛(佐野史郎)の住まう江戸の袋物屋・三島屋に居候している。女中頭のおしま(宮崎美子)の指導の下、女中として暮らしはじめたが、ふとしたことから三島屋を訪れる客・藤吉(豊原功補)の相手をしなければならなくなった。その客が語りだしたのは、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)にまつわる恐ろしくも切ない物語だった。[TAIG](C)NHK
叔父・伊兵衛(佐野史郎)が始めた百物語。今回の客人は、おたか(小島聖)という妙齢の女性であった。おたかは、おちか(波瑠)にある屋敷で起きた不思議な話をするが、なぜかおちかの素性を知っているような口ぶりで、おちかをその屋敷へと誘おうとする。そこへ、おたかの身元引受人である清太郎(川口覚)が飛び込んでくる。おたかを連れ帰った清太郎は、後日、おちかと伊兵衛を、屋敷の跡地へ連れて行き、ことの真相を語る。[TAIG](C)NHK
期せずして、おちか(波瑠)は女中頭のおしま(宮崎美子)に自らの悲しく陰惨な過去を語ることになる。川崎のはたごに生まれたおちかは、拾われ子の松太郎(満島真之介)と兄妹のように育った。長じて、おちかに縁談話が持ち上がったとき、ちょっとした行き違いから松太郎が婚約者の良助(松田悟志)を惨殺し、自殺を遂げるという事件が起きる。それは、松太郎のゆがんだ育ち方が、積年の恨みとなって噴出した不幸な事件であった。[TAIG](C)NHK
おちか(波瑠)の境遇を知って、同情したおしま(宮崎美子)は、次の語り部に、かつて自分が奉公していた店のお嬢さんを呼んだ。お福(佐藤江梨子)というその女性は、自分の姉兄の身の上に起きた、鏡にまつわる因縁話をする。恐ろしい体験に心をふさいでいるのは、おちかばかりではないと慰めるお福。しかし、おちかの心の闇は深く、おしまやお福に感謝しながらも、おちかの心のわだかまりが解けるわけではなかった。[TAIG](C)NHK
おちか(波瑠)の兄・喜一(石垣佑磨)がもたらした話は、実家に松太郎(満島真之介)の幽霊が出始めたというものだった。松太郎の幽霊は、どこかへ向かうと言うので、もしやと思い、おちかのもとを訪ねたという。そのころ、越後屋の清太郎(川口覚)は、おたか(小島聖)の様子がおかしなことに気づき、おちかを座敷ろうにいるおたかと会わせる。おたかの瞳の中に異様な人影を見たおちかは、ひとり不思議な別世界へと迷い込む。[TAIG](C)NHK