45億年前に生まれた太陽系と、そこにある4つの地球型惑星―水星、金星、地球、火星。同じ構成物質からなるこの4つの惑星はそれぞれ地球と同じような環境を享受する可能性を秘めていた。しかしその中でなぜ地球だけが生命をはぐくむ星となったのか、そのカギを握るのは太陽だった。誕生から40億年余り、それぞれの惑星はどのような軌跡をたどってきたのか、地球以外の惑星に生命が生まれた可能性はあるのか。

錆色の表層に覆われた冷たい岩石の惑星、火星。地球から最も近くに位置し姉妹惑星ともいわれる火星は、かつて豊富な水をたたえ、活発な火山活動もあり、地球と同じように生命をはぐくむ惑星になる可能性を秘めていた。なぜ、2つの惑星は全く異なる運命を辿ることとなったのか。バイキング、キュリオシティなどの探査機や、数々の探査計画によって集められたデータからかつての火星の姿を探り、姉妹惑星の命運を分けた要因に迫る。

地球型惑星の外側に位置する木星は、ときに暴力的なまでにパワフルで、またときに太陽系の守り神でもある、“ゴッドファーザー”だ。太陽系の惑星で最初に生まれた、最も大きくして最も強力な巨大ガス惑星は、太陽系の創始に重要な役割を果たしたと考えられる。初期にはその力をもって幾多の岩石や小惑星を巻き込み巨大に成長し、地球をも飲み込もうとした。しかし今日の地球があるのもまた、木星の存在があるからなのだ。

太陽系外縁部に位置する土星の、美しいその環にはさまざまな不思議が潜んでいた。いつ、どのようにしてできたのか、なぜ輝いているのか。探査機カッシーニの13年にも及ぶ探査から得られた膨大なデータは、美しい土星とその環を詳細に見せてくれただけでなく、その驚くべき誕生秘話をも語ってくれた。探査ではまた、土星の衛星たちの物語も語られ始めた。果たして、地球から遠く離れた場所に、生命の兆しはあるのだろうか。

太陽系のはるか彼方、深い闇の世界にたたずむ星たち。天王星、海王星、冥王星をはじめとした氷の世界は、近年まで謎に包まれたていた。ボイジャーやニューホライズンの長い長い旅によって明らかになってきたその姿は、凍った静寂の世界などではなく、目を見張るほどダイナミックで美しいものだった。太陽系の惑星たちが語り始めた壮大な宇宙の物語をひも解く人類のあくなき探求は、まだ始まったばかりなのである。