ラビリンス1945 平和の虚像

1945年、第二次世界大戦は終わりを告げる。中立を貫いたことで戦争被害が少なかったスイスは、強制収容所に収監されていたユダヤ人に対して積極的な支援を行うことで、国際社会での役割を果たそうとしていた。敷布工場を営むフレイ社の一人娘クララは、スイス赤十字社が運営する支援施設で働き、ユダヤ人の子供たちを受け入れる準備に追われていた。ところが、到着した子供たちの中に青年もいたことで、クララや施設職員たちは今後の運営に不安を感じていた。一方、フレイ社の後継者としてクララと結婚したヨハンは、結婚式の翌朝、義父アルフレッドからフレイ社が政府からの契約を解除され、経営危機に陥っていることを告げられる。

合成繊維の開発で会社の危機を打破したいヨハンだったが、カーギ議員からも政府への口利きを断られる。更に銀行の融資を得られぬまま、ついに従業員解雇に踏み切るまで追い込まれてしまう。そんなヨハンの窮状を憂いた叔父カールは、ドイツ人化学者の雇用と非公開の融資話を持ち掛ける。

ヨハンはドイツ人化学者シュナイダー一家をスイスに迎え入れた。合成繊維の開発に近づき喜ぶも、シュナイダーが偽名だと知り疑念を感じる。一方、クララの努力で順調な運営のユダヤ人支援施設だったが、何者かに食料を盗まれたことで、子供たちの食事が半分に減らさざるを得なくなる。

ドイツ人弁護士ショルツの盗聴会話から、弟ヨハンが協力者だったことを知った兄エゴンは、上司に報告せずヨハン本人に忠告をすることで事態の収拾を図ろうとする。しかし、ヨハンが叔父カールに直接問い正したことで、エゴンの検察庁での立場が危うくなってしまう。

職を失ったエゴンはショルツを追い詰めるべく、ヨハンに証拠探しの協力を依頼。カールと対峙したヨハンは、融資された資金が不正に取得された事実を知る。一方、シュナイダーを受け入れるヨハンを許せないクララは家を飛び出し、好意を寄せ合っていた青年ハーシェルと一夜を共にする。

シュナイダー一家を追い出したものの、経営者の自分には内緒でマネーロンダリングが行われている事実を掴んだヨハン。義父やカール、ショルツらが関与していたことで、会社への多大なる損害を危惧した彼は、ある決断を迫られていた。一方、再びイェンケレを連れ、家に戻ったクララだが。