8000年前、地殻変動により大陸から切り離された島、ニュージーランド。地質学的変化が生み出す厳しい自然の中で闘い、あるいは共存する生き物たちの神秘に迫る。森の奥にコロニーを築くハシブトペンギンの母鳥は、ヒナのため毎日海に獲物を捕りに行く。また、地熱活動が生み出した北島のポフツ間欠泉では、ユスリカが他の生き物にとっては生育に適さない環境を利用して繁殖。それを狙うオウギビタキの神業的な狩りの手法とは…。

厳しい自然の中で生き残るため、生き物たちが取るべく驚くべき行動を紹介する。最南端の島に生息するサザンブラウンキーウィは夜行性にも関わらず、夜の短い夏の間は日が昇っても浜辺で獲物を探す。フィヨルドランドにはイルカなどの海獣たちが休息と獲物を求めて集まる。海水と淡水が混じる入り江には、深海に多く棲む種類のサンゴや腕足動物が生息。また、ミヤマオウムは人間の生活圏や雪山で逆境を楽しむかのように子育てをする。

大陸から分離されたニュージーランドは陸生哺乳動物がいない世界だった。鳥たちは飛ぶことをやめ、警戒心もなく、護身術も持たなかった。そこへ人間が天敵を連れて現れたため、多くの生き物が絶滅、あるいは絶滅危惧種となっている。今回は人類がこの国の生態系に与えた影響や、絶命の危機にある動物たちを救う試みを紹介。原始の森に1羽だけ残るフクロウオウムなどを通り、この国が抱える問題を見つめる。