全国新酒鑑評会で9連覇を果たし、福島県が全国に誇る「日本酒」。福島県内には50以上の酒蔵があり、その酒蔵一つ一つに製法のこだわりや酒への思い、代々受け継がれてきた歴史など、「物語」がある。福島県出身の俳優・神尾佑が酒蔵を訪ね、杜氏や蔵人と酒を酌み交わし、その「物語」を紐解いていく、旅情ヒューマンドキュメンタリー。
エピソード1
仁井田本家
訪ねたのは福島県郡山市郊外で300年以上続く酒蔵・仁井田本家。18代目蔵元は伝統を受け継ぎつつ未来を見据えた酒造りを始めた。蔵元が使命に掲げたのは日本の田んぼを守ること、目標は自給自足で、自然と共存する酒造りを実践する。今取り組んでいるのが自社の田んぼで無農薬・有機栽培で育てた酒米を、祖父が植えた杉の木で作った酒樽で醸した酒「にいだのぐらんくりゅ」。この秋に販売予定の自然にこだわり抜いた珠玉の1杯を一酌み交わし見えてきた、蔵元の日本酒プライドとは。
エピソード2
大天狗酒造
舞台は明治初期から続く本宮市唯一の酒蔵「大天狗酒造」。杜氏は3人姉妹の長女の小針沙織さんで、祭りなど楽しい時間を共有する時に欠かせない酒を絶やしてはいけないと、会社勤めを辞めて家業を継ぐ。しかし酒造り2年目の秋の台風により甚大な浸水被害を受ける。それでも周囲の助けを受け、わずか1か月でその年の仕込みを開始、酒蔵としての命を繋いだ。街を愛し、街に愛される小さな酒蔵の再起の物語。
エピソード3
大和川酒造店
喜多方名物「朝ラー (ラーメン)」を食し訪ねた今回の舞台は江戸時代中期から続く大和川酒造店。本店の蔵は見学施設になっていて明治・大正・昭和、それぞれの時代に建てられた蔵で酒造りの様子や蔵の役割を知ることができる。また平成になって建てられ現在酒造りをする飯豊蔵を訪ねると、自社の田んぼでのコメ作りから精米まで行う地域の総合産業になっていると知る。
エピソード4
鶴乃江酒造
城下町・会津若松市で200年以上続く鶴乃江酒造が舞台。蔵名の鶴乃江は鶴ヶ城と猪苗代湖から、酒の銘柄・会津中将は会津松平家初代の保科正之公から名付けるなど会津の歴史と気質が詰まった酒蔵。専務の林ゆりさんの案内で昔ながらの道具を大事に使っている蔵を体で感じ、自慢の酒をお手製のつまみと共に頂く。
エピソード5
鈴木酒造店
かつて「日本一海に近い酒蔵」と言われた浪江町の鈴木酒造店は東日本大震災の津波で全てを流され、福島第一原発事故により県外避難を余儀なくされた。震災から11年が経ち、ふるさと浪江に帰り全国でも珍しい道の駅の中での酒造りを始めた。それは再起した漁師たちに長年親しまれてきた「大漁祝い酒」を復活させるためでもあった。
エピソード6
四家酒造店
江戸末期に自ら楽しむために酒造りを始めたと言われる又兵衛が興したいわき市の酒蔵「四家酒造店」。製造する酒の9割以上がいわき市内で消費されるまさに地酒で、おにぎりの具材や魚の煮物の調味料として地元企業からも重宝がられている。今回は又兵衛さんの人物像に迫るほか、昔から受け継がれている道具の数々を拝見、また又兵衛さんもビックリのコラボ商品も登場。