太陽を信仰する不思議な行者、“先生”(中村敦夫)は祠の前で、木綿針の行商女“おばさん”(市原悦子)に出会うが、その祠の中では、仏像が目から血の涙を流し続けていた。恐れた村人達は、最近村に住みついた足抜け女郎のお鶴(栗田ひろみ)と恋人の千吉(小林芳宏)のたたりだと思い込み、二人を追い出そうとする。そこに男装の流れ者“若”(和田アキ子)、香具師のチンピラ・正十(火野正平)、流れ巫女のおねむ(鮎川いづみ)が現われて、先生らと共に、仏像の一件の因果を探る--。©松竹・ABC
遠く離れた江戸と上州で、同時に異変が起った。柳橋の芸者・染香(左時枝)と、上州漆ヶ原の代官・山地(新田昌玄)の妻、琴路(小山明子)の人格が突如、入れかわったのだ。先生(中村敦夫)は、これは人間の苦悩がこうじての変身現象だと察し、若(和田アキ子)らと共に上州に向かう。実は、琴路は夫の悪行に苦しんで………。©松竹・ABC
先生(中村敦夫)らは、父の仇を求めて旅する若侍・真之助(伊藤幸雄)と出会った。真之助は、幼い時、病気の母・志乃(弓恵子)を祈とうした旅の僧・弁覚(藤岡重慶)に父を殺されて、母を奪い去られたのだった。志乃は今は、小料理屋の酌婦に身を落とし、弁覚の情欲に引きずられて生きていた--。©松竹・ABC
油問屋・百舌屋の娘・うめ(泉じゅん)は、血まみれのもうひとりの自分の影におびやかされていた。先生(中村敦夫)は、それはうめが自分の死を予感しての“影の病い”だと霊視する。実は、うめは、身代を狙う義母のくに(中島葵)と医者の宗丹(近藤宏)に毒を飲まされていたのだ。彼女の父親も同じ手で、毒殺されていた--。©松竹・ABC
松葉屋の女郎・おそで(白川和子)は、娘のおちよ(松村郷子)の声に引き寄せられて女郎屋を飛び出し家に戻るが、おちよの姿はなかった。そのころ先生(中村敦夫)一行は、寺に納められた新しい鐘がひとりでに鳴り出すというおかしな事件を目にする。しかもおそではこの鐘の音に引き寄せられているらしい。実はおちよは、この鐘を作る時、炉の中に放りこまれていたのだ--。©松竹・ABC
旅宿・さいか屋の若旦那の孝之介(風戸佑介)は女郎のお葉(大関優子)と深い仲になり、父親の清兵衛(林幸一)を困らせていたが、ある日、ふたりは心中死体となって発見された。清兵衛の遠縁の娘で、かねて孝之介に思いを寄せていた毱(久永智子)は、その日から様子がおかしくなった。先生(中村敦夫)は、そんな毱とともに、孝之介とお葉の死因を霊視、ふたりが殺されたことを知る。©松竹・ABC