警視モンタルバーノ シチリア島の事件簿

ある日、漁船でチュニジア人の乗組員が射殺された。その同日、エレベーター内で男の遺体が発見される。さらに数日後には、子供のおやつを盗む奇妙な泥棒が街を騒がせ始めた。バラバラの場所で起きた、何の関連もなさそうな3つの事件。しかし、被害者の愛人だったチュニジア人の美女が捜査線上に浮上したことで、モンタルバーノ警視は3つの事件のつながりを見抜いていく。その背景には、想像を絶するほど深い闇が潜んでいた。

葬式に向かう車の中でうたた寝をしていたモンタルバーノは衝撃で目を覚ます。部下がハンドル操作を誤り、無人の別荘の前に止まっていた車に追突したのだ。車の持ち主から連絡がないのを不審に思い夜中に別荘に忍び込むと、そこには女性の全裸死体があった。美しく若い人妻は、なぜ無残にも殺されたのか。上の意向で担当から外されてしまうモンタルバーノだったが容疑者が射殺されたことに疑問を感じ再び捜査に乗り出すのだった。

とある早朝、清掃員たちによって死体が発見された。被害者はシチリアの重要な政治家であるシルヴィオ･ルパレッロ。発見現場は売春で有名な場所であり、停車した車の中でズボンを下ろしているという衝撃的な状態だった。事件と事故の両面で捜査を進めていくモンタルバーノだったが、死因は心臓発作という検視結果が届く。自然死で事件は解決だと上層部から圧力がかかるが、発見時の不審な点や目撃証言からモンタルバーノは事件の可能性を疑う。

ある日、モンタルバーノは犯罪組織の重鎮から、表舞台から退くために逮捕してほしいと相談を受ける。そんな折、スーパーで強盗未遂事件が発生。しかし、犯人は盗品を積んだトラックを捨てて逃走するという不可解な行動を取っていた。モンタルバーノのもとに残された引退を望む重鎮の言葉、不審な強盗事件、そして秘密の洞窟。捜査を進める中で浮かび上がるのは、混乱の時代を生きた半世紀前の恋人たちの悲劇的な運命だった。

モンタルバーノの知り合いの彫金師が自宅で電気椅子のような装置で感電死しているところを発見された。当初は車椅子を改造して自殺を図ったと見られていた。しかし、故人を知る人々は口々に自殺は考えられないと言う。念のため捜査をすると、弟に全財産を相続させると書かれた自筆の遺言書が発見された。兄弟は長らく絶縁していたものの最近になって交流が復活していたという。二人の間には果たしてどのような確執があったのか。