蒼のピアニスト

済扶島 (チェブド) で貧しい生活を送っていた小学生のジホは、ある日突然、事故で祖母を失い天涯孤独の身となるが、実父であるプソン楽器の会長ユ･マンセに長男として引き取られる。ジホは、マンセの妻ヨンランと息子のイナとともに豪邸で暮らし始めるが、母ヨンランの愛を独占したいイナはジホを激しく拒絶する。まもなくジホが、絶対音感をもっていることがわかると、ピアノの腕に絶大な自信をもつイナは、ますますジホへの敵意を強めていく。

マンセは、2人の実力を見極めるため競わせることにし、ピアノを始めたばかりのジホも、イナと一緒に会社主催のピアノコンクールに出場させる。結果、優勝はイナ、ジホは特別賞を受賞。だがマンセは、真の勝者は不当な手を使ったイナではなくジホだとし、敗者のイナには会社を継がせないと言い放つ。そんな中、マンセの仲介で2人と会ったファン教授は、2人に同じ曲の譜面を渡し、それぞれ1時間の熟考のあとで演奏せよ、という課題を出す。

マンセは、後継者問題でヨンランとの言い争いの末、突き飛ばされて頭を強打、気を失う。そんな時、マンセの実母バノルが火の不始末で火事を起こし、家中に広がってしまう。ヨンランは我が子を救うため、火の中に飛び込む。一方、バノルに助けを求められ、燃えさかる家に入ったホットク売りのスピョは、イナを見つけ助け出そうとするが…。

火災でマンセは死に、イナは、命は助かったものの全身に大やけどを負う。警察はマンセの死に不審な点があるとし、ヨンランを取り調べるが、ヨンランは故人のスピョにぬれぎぬを着せ嫌疑を晴らそうとする。認知症の義母バノルを施設に入れ、弁護士スンジェをカネと権力で抱き込み、ヨンランはプソン楽器会長となる。一方、やけどで動かなくなった手の手術を受けたイナは、小指だけが回復せず、絶望して病院の外階段から飛び下りようとする。

14年が経過し、イナはヨンランへの憎しみとジホへの劣等感を持ち続けていた。一方、ジホは人気ピアニストとして、国内最大規模の音楽会を目前に控えていたが、自転車事故で転倒し、指を骨折する。事故の相手はスピョの娘ダミ。ダミは、転倒の際、自転車を取り違え、音楽会用のジホの譜面を自転車ごと持ち去ってしまう。ダミがバイト先のレストランでジホの曲をピアノで演奏すると、映像がネット上にアップされ、たちまち拡散してしまう。

ハ教授は、楽譜を紛失し作品を流出させた責任で、ジホに弟子の座を返上させる。ジホは指の回復を待たず音楽会で演奏するが、痛みのため途中で舞台を降り、名を落とす。一方、ヨンランはハ教授に取り入りイナを音楽会に出演させ、イナは注目を集める。そんな時、ハ教授の娘ソユルが留学先から帰国する。ジホに関して良くない噂を耳にしていたハ教授は、ソユルからジホに関する真実を聞かされる。