時は、明治の末――金欠に苦しむ天才歌人・石川啄木は、とある殺人事件をきっかけに下宿で探偵稼業を始めることに。その名も、「啄木鳥探偵處」。「浅草十二階の幽霊騒動」「雪降る夜に街を徘徊する人食い人形」……奇怪な事件に次々と首を突っ込む啄木の助手を務めるのは、同郷の先輩・金田一京助。文士仲間の野村胡堂、吉井勇、萩原朔太郎、若山牧水らを巻き込んで、人たらしの天才歌人・石川啄木が文明開化の東京を駆け抜ける!
エピソード1
こころよい仕事
東京で一旗揚げようと、同郷の先輩である金田一京助を頼って上京した天才歌人、石川啄木。創作そっちのけで酒と女にうつつを抜かし、万年金欠状態。 そんなある日、二人は偶然立ち寄った浅草十二階下で殺人事件の第一発見者になってしまう。被害者は荒川銅山の大番頭・小栗のもとで働く使用人の達吉。警察に怪しまれた二人だったが、啄木の機転で難を逃れる。その後、達吉が遺した告発状と凶器が発見されたことから、小栗が逮捕されるものの、疑問を抱いた啄木は持ち前の観察眼で事件の謎に迫っていく。
エピソード2
魔窟の女
警察が京助の部屋へ訪ねてきた。華ノ屋の女郎・お滝が殺されたというのだ。啄木の「お滝の部屋で京助を見た」という証言から京助に殺人犯の疑いがかかってしまう。酔って帰宅した啄木を問いつめる京助だが、啄木は一向に取り合わない。 一方、京助はお滝の部屋に残されていた啄木のローマ字日記を根拠に、犯人は啄木かもしれないと疑い始める。果たして真実はどちらにあるのか?
エピソード3
さりげない言葉
京助が警察に逮捕されてしまった。真相に迫るべくミルクホールに集まった萩原朔太郎と野村胡堂ら友人の文士たちがそれぞれ推理を披露することに。さらに、夏目漱石の紹介でやって来た芥川龍之介も謎解きに参戦するが、どれも決め手にはかける。悩む一同の前に平井太郎と名乗る少年が現れ、一昨日の夜に全ての原因があると語り始める。その見事な推理に驚く文士一同。その推理とは?
エピソード4
高塔奇譚
連日新聞を賑わす凌雲閣の幽霊目撃騒動。浅草を仕切る六郎は、啄木に真相究明を依頼する。現場へ向かった啄木は、旧友の元新聞記者・山岡と再会。啄木は幽霊騒動に山岡が関わっていると見抜くが、山岡は「ノドノツキ」と言い残して去ってしまう。一方、幻燈師の松吉が殺されるという事件が起きる。松吉は二か月前の婦女暴行事件の第一発見者であった。啄木は2つの事件の関連性を調べ始める。
エピソード5
にくいあん畜生
友人の詩集に刺激されながらも自信を失いそうになる啄木を励ます京助。しかし、同郷の女郎・おえんの見受け話に啄木が関係していることを知ったことで苛立ちを隠せない。一方、ミルクホールでは、給仕の季久への告白を巡り、吉井・朔太郎・牧水の三人が、胡堂の審判のもと歌合戦をする。3人が飲み明かした朝、下宿先に啄木を訪ねてきたおえんは京助に餞別を託して去っていった。そこに新しいスーツに身を包んだ啄木が現れ……。
エピソード6
忍冬
人気役者の橘乙次郎が活人形「金銀花」にかみ殺されるという猟奇事件が話題となる。ほどなくして乙次郎の後輩である泉若が自首したことで落着を見ていたが、泉若はミルクホールで働く季久と恋人同士だった。吉井は、片思い中の季久から泉若の無実の証明を頼まれる。そこに、京助と絶交中で金欠の啄木が割込み、二人で事件を調べることに。季久に好かれたい一心の吉井は、「金銀花」でぼろ儲け中の傀儡館の館主が犯人とにらみ、啄木と一緒に傀儡館へと乗り込んでいくのだったが・・・・・・。
浅沼晋太郎
櫻井孝宏
小野賢章
斉藤壮馬
津田健次郎
梅原裕一郎
牧野友映
江崎慎平
伊井圭
岸本卓