火付盗賊改方の長官に返り咲いた、鬼平こと長谷川平蔵は、ある夜、刺客に襲われた。獣のような殺気と鋭い太刀さばき。江戸に出没する謎の辻斬りと同一犯であることを平蔵は見抜く。暗闇に消え去った刺客は、甘美な香りを残しており、平蔵はその匂いを手掛りに身元を洗う。やがて白梅香という匂油を買う浪人の正体が判明するが、その背後に意外な黒幕が居た。平蔵は自ら見回りに出掛け、刺客をおびき出す作戦に出る。
平蔵を長官とする火付盗賊改方は、極悪非道の盗賊、梅吉の一味を追っていた。平蔵の旧友、彦十の報告によると、梅吉は本所の御家人・服部の屋敷にいるという。一味の中におふさという女がおり、大がかりな強盗を企んでいる事を聞いて平蔵は驚愕する。おふさは、20年前平蔵が剣友・左馬之助と競うほどに憧れていた女性であった。その後、呉服問屋に嫁ぎ、女将として幸せに暮らしている筈だった。平蔵は一味の屋敷を襲撃し、企みを暴く。
長谷川平蔵は、そば屋で一人の男とすれ違った。物腰は柔らかいが、平蔵を窺う目に鋭い憎悪が走った。その男、表向きは印判屋の看板を立てるが、蛇の平十郎という異名をとる大盗っ人。時間をかけて強盗を企み、水際立った手口で大富豪ばかりを狙う。凶行の日まで、手下にさえ顔をみせない男である。その平十郎が次に狙うのは、将軍家にとり入り、御典医に成り上がった千賀の屋敷。からくりを見抜いた“鬼平”は一網打尽にしようとする。
江戸の町に、無惨な殺りくと略奪を重ねる凶悪犯が出没した。この神出鬼没の盗賊は、血頭の丹兵衛と目された。だが、伝馬町の囚人・粂八が、一連の凶行は偽の丹兵衛の仕業であると平蔵に申し出る。粂八は、昔丹兵衛の手下だった。丹兵衛の手口には、人を殺さず、貧乏人は襲わず、女は犯さずの掟があるという。平蔵は粂八を解き離し、密偵として真犯人を探らせる。やがて平蔵は、謎の盗賊一味が、島田宿へ集まるという情報を得た。
平蔵の屋敷に、おまさという娘が訪ねて来た。おまさは、平蔵が若い頃通った居酒屋の娘。酔いつぶれた平蔵を何かと面倒みてくれた。今では、札差・大月に住み込みで働いているが、それは、盗賊・仁三郎一味を引き込むためである。だが、一味の計画があまりにも凶悪であることを知り、足を洗おうと決意するおまさ。全てを聞かされた平蔵は、その日からおまさを密偵として使う。梶芽衣子がこの5話から女密偵として活躍する。
江戸の町に、凶悪無惨な怪盗が出没した。紙問屋の大和屋が襲われ、一家皆殺しにあったとき、平蔵は、その手口から太平一味の仕業とにらむ。賊の一人と思われる助次郎が浮かんだ。平蔵はその探索を部下の小野十蔵にあたらせる。十蔵は無口で風采のあがらない男である。助次郎の家に踏み込んだ十蔵は殺人現場に出くわした。身重のおふじが、助次郎を絞殺したのだ。十蔵は、おふじの身の上に同情し、彼女をかくまってしまう。