主任警部モース

モース警部がジュリコ街に住むアンという女性に出会ったのは、所属する合唱団のパーティの席上だった。すっかり意気投合した二人は再会を約束するが、数か月後、彼女は自宅で首吊り自殺を遂げた。果たして本当に自殺なのか？モース警部にはどうしても納得がいかない点があった。やがてアンの家の近所で殺人事件が起こりモース警部は様々な推理を巡らし始める。

ニコラス・クインが海外学力検定試験評議会の一員に選ばれた際、評議会は大騒ぎとなった。彼は極度の難聴で、会話を交わすにも読唇術だけが頼りだったからだ。三か月後、クイーンは毒殺死体となって発見された。補聴器をつけたこの上もなく安全無害の男がなぜ殺されなければならなかったのか？モース警部は即座にその評議会に照準を合わせ捜査を開始するが・・・。

オックスフォードの静かな教会で背中をナイフで刺された教区委員の死体が発見され、恐ろしい連続殺人事件が幕を開けた。モースは教会の信者で清掃も受け持っているルース・ローリンソンに惹かれるが、同時に彼女の事件との関わりを疑う。教区委員に続いて牧師のライオネル・ポーレンが塔から落ちて死ぬ。自殺なのか他殺なのか？謎が深まる中、モースはその明晰なる頭脳と豊富な経験を活かすべく捜査に取り組む。

モースはランドルフ・ホテルで起こったアメリカ人観光客の変死事件を捜査する。変死をした女性ローラはオックスフォードのアシュモリアン博物館にアングロ・サクソン時代の装身具を寄贈するために、イギリスの歴史と文化をテーマにしたツアーに、夫と共に参加していたのだった。しかし、彼女が死んだとき装身具は何者かに盗まれてしまっていた。

留学生の一団がオックスフォードのサマースクールに到着し、美しい女性教授ジェーンの招待を受けたモースは喜んで歓迎パーティーに参加する。しかし、そのさなかに殺人事件が起きる。一方、ジェーンの父親はかつて日本軍の捕虜となり拷問の記憶に悩まされつつ亡くなったばかりだった。疑わしい人物すべてに完全なアリバイがある。さらに新たな殺人事件も発生し、謎はより深まっていく。

半年前に失踪して以来、行方の知れなかった女子高生ヴァレリーから、突然、両親に手紙が届いた。しかし、その手紙は「元気だから心配しないで」とだけ書かれた実に素っ気ないものだった。生きているのなら、なぜ今まで連絡してこなかったのか。失踪の原因は何だったのか。そして今は一体どこでどうしているのか。だが、捜査を引き継いだモース警部はある直感を抱いていた。「ヴァレリーは死んでいる」。幾重にも複雑に絡み合う事実。試行錯誤の末、それらからモース警部が引き出した結論とは？