組織に縛られることを嫌う天才外科医(織田裕二)と心に傷を持つ女刑事(松雪泰子)。運命的に出会った2人が、一族で経営する個人病院内の確執と隠された真実、そして自身の過去の謎に迫る緊張感あふれるサスペンス。共演は阿部寛、長塚京三、田中美里、渡辺いっけい、佐藤二朗、石黒賢ほか。
EPISODE 1
危険なめぐり逢い
高度な技術を持つ外科医・都倉隆(織田裕二)は、全国から優秀な医者が集まる泉田病院の事務長・安藤浩(石黒賢)にヘッドハンティングされ、移籍を決意する。教授に利用されるだけの大学病院に嫌気がさし、実績に見合った報酬を手に入れることができることが最大の理由であった。都倉の着任初日、急患受け入れの要請が入る。都倉は、院長・泉田慶一郎(長塚京三)に病院の創立25周年パーティーにくるよう命令されるが、それに背き、緊急オペを行う。その患者は、刑事・水澤由希子(松雪泰子)に胸を撃たれて重傷を負った指名手配中の強盗殺人犯・及川一馬(東幹久)だった。犯人を追いかけ、追い詰めた由希子は目の前に現れたプールを見て我をなくし、至近距離で及川を撃ってしまった。由希子は水に対して、極度な恐怖心を持っていたのだ。都倉の技術により及川は一命を取り留めたが、由希子の中では激しい葛藤が起きていた。一方、慶一郎は自分の命令を聞かなかった都倉をクビにするつもりでいた。ところが翌日、「強盗殺人犯が警官に撃たれ重傷」というニュースが世間を騒がせ、泉田病院にも多数の報道陣が押しかける。思わぬ宣伝効果にほくそえむ慶一郎は、記者会見を開き、都倉を主治医として同席させて病院をアピールする。後日、病院で及川の回復を待つ由希子の前に、両親を殺された佐久間浩太(吉武怜朗)が現れる。由希子は及川を殺そうと必死になる浩太をおさえるが、その様子を見ていた都倉の悲しみに満ちたまなざしにドキリとする。その後、由希子は都倉に、ギャンブル代欲しさに子どもの目の前で両親を射殺した及川への怒りをあらわにし、「あんなヤツに生きる資格あるの?」と問う。するとその時、突然エマージェンシーコールが鳴り響き…。
EPISODE 2
彼の悲しい告白
泉田病院外科に内科から心筋梗塞患者の三枝浩二(平泉成)が回されてきた。三枝はすでに2度発作を起こし、次の発作が起きたら命取りな状態だった。そんな中、都倉(織田裕二)は成功率の極めて低い三枝の外科手術に名乗りを上げる。ところが、同僚の粕谷賢司(芹澤名人)は三枝の慶明医大への転院を提案。泉田病院は慶明医大と深い関係があり、粕谷は絶望的な状態の三枝を慶明医大の老教授である堀口が執刀すれば、仮に失敗しても問題にならないと考えていた。都倉はそんな粕谷の思惑にうんざりする。そして、その思いは泉田家の長男・俊介(阿部寛)も同じだった。一方、由希子(松雪泰子)は警察学校時代の恩師である三枝の見舞いに訪れ、水への恐怖心から捜査に失敗したことを相談。その話を都倉は偶然耳にしてしまう。その後、由希子はバーにいた都倉と俊介のもとを訪れる。そして、都倉に三枝を必ず助けることを約束するよう迫るが、都倉に「水がダメってどういうこと?」と尋ねられ、「子どもの頃、溺れて死にかけたの。医者ならなんとかしてよ!」と取り乱してしまう。そんな由希子に都倉は「…あなたの傷は外科医には治せません」と答える。都倉と話をした後、彼の複雑なメンタリティが気になって都倉の過去を調べ始めた由希子は、彼の大学の同級生・鯨岡太郎(深江卓次)から都倉の家庭が複雑だったこと、そして母親を子どもの頃に亡くしたことを知る。そんな中、三枝の容態が急変。切迫梗塞を起こしていた三枝は一刻を争う状況だが、堀口が旅行中のため翌朝、慶明医大に転院することに。その時、由希子から慶一郎(長塚京三)に電話が入り、「三枝さんに何かあったらそちらの責任を追求しますよ」と告げる。俊介が外科主任として都倉に執刀を命じたこともあり、慶一郎は仕方なく同意し、手術が始まるが…。
EPISODE 3
第三年間も眠り続ける男の正体
泉田病院で21年間植物状態が続く患者・田中茂(佐戸井けん太)に覚醒の兆候が表れた。それに気づいた都倉(織田裕二)は会議で担当の熱川治虫(渡辺いっけい)に田中の事情を聞く。しかし、熱川をはじめ、泉田家の次男・信哉(松岡俊介)、俊介(阿部寛)も田中について詳しいことは知らないと言う。その時、看護師の広田マキ(田中美里)が「田中の指が動いた」と、会議室に飛び込んできた。一同が駆けつけるが田中の様子に変化は見られなかった。都倉は田中の検査を主張するが、慶一郎(長塚京三)と俊介に阻まれてしまう。その様子を見ていた信哉が都倉に田中のレントゲン写真をこっそり差し出す。すると都倉は、田中が植物状態になった原因を推察する。そこに慶一郎が現れ、写真は取り上げられてしまうが、都倉の脳裏に閃くものがあった。一方、由希子(松雪泰子)は都倉からカフェに呼び出される。由希子と都倉が話していると店の外から悲鳴が。それは多田大輔(KEE)に絡まれていた泉田家の長女・香織(山田麻衣子)のもので、由希子は香織を救う。その時、多田はナイフを振り回し、誤って通りがかりの門松丈二(田中啓三)の胸に突き立ててしまう。都倉は近所の医院に門松を運び込み、由希子に手伝わせてオペを行う。都倉の卓越した技術により門松は一命を取り留めた。その後、都倉は由希子に21年前に山梨で起こった交通事故について調べて欲しいと言う。翌日、都倉のもとを訪れた香織は事件の口止め料だと言って、慶一郎の部屋から盗んできた田中のレントゲン写真を渡す。写真に挟まっていた資料を見て都倉が確信したのは…。一方、都倉に頼まれていた事件のデータを昔の恋人・宇波康裕(乃木涼介)からもらった由希子は、資料を見ていくうちにある1件に目を止め、言葉を失う…。
EPISODE 4
胸が引き裂かれる辛い思い出
泉田病院に眠る植物状態の患者・田中(佐戸井けん太)の本名は三輪忠志といい、由希子(松雪泰子)の実の父親だった。衝撃を受ける都倉(織田裕二)と由希子の前に、俊介(阿部寛)が現れる。由希子が俊介に何故父親がここにいるのかを尋ねると、俊介もその言葉に驚き、3人で慶一郎(長塚京三)を問い詰める。すると慶一郎はただ、昔世話になった先生のいる山梨の病院から転院させて欲しいと頼まれただけだと答える。会議が行われ、都倉は、熱川(渡辺いっけい)と共同で忠志の担当医師となり、積極的な治療を開始する。一方、由希子は暴行傷害事件を起こして逃走中の片桐邦夫(大沢樹生)という男が、都倉の知人だという情報を得る。驚く由希子だったが、都倉の過去を知る男が登場したため、興味もかき立てられていた。そこで由希子は都倉を訪ねて事情を話し、片桐が都倉に接触する可能性があるので、都倉の身辺を見張ることを告げた。数日後、泉田病院で都倉の前に片桐が現れた。自首しろと言う都倉に対し、片桐は近くを通りがかったマキ(田中美里)を羽交い絞めにして抵抗する。皆の視線を浴びる中、片桐は都倉が昔は金の亡者だったことを暴露する。その夜、由希子は都倉に片桐が護送されたことを電話で報告。そして都倉に「新しい人生を切り開いて行けばいい」と言われていた由希子は、事故現場に行ってみると都倉に伝える。後日、事故現場を訪れた由希子の前に現れた都倉は、驚くべき事実を告げる…。
EPISODE 5
森に消えた男の驚くべき正体
都倉(織田裕二)と由希子(松雪泰子)は21年前の事故の詳細を調べるため、山梨県富士美警察署を訪れ、粘った末に当時の事故の通報者の情報を得る。そして、通報者から都倉の母・亜紀枝(八木小織)が働いていた養護施設で何度か見たことのある男と事故現場近くで会ったというが、その男の名前はわからないという。ただし、その養護施設で亜紀枝と一緒に働いていた橘真理子(高林由紀子)について教えてもらう。一方、泉田病院では安藤(石黒賢)の提案で始めた関連会社が多額の赤字を出しており、慶一郎(長塚京三)から緊急に穴埋めの対応策を求められ、安藤が窮地に立たされていた。そこで俊介(阿部寛)はドクター1人あたり年間100例のオペをこなし、病院の評判を上げればいいと提案する。そんな中、真理子のもとに駆けつけた都倉と由希子だったが、真理子は胸部解離性大動脈瘤で昏睡状態にあった。病院ではもう手の施しようがないと言われ、娘・葉子(中込佐知子)も半ば諦めていた。だが、都倉はどうしても諦めきれず、院長・古手川圭三(浜田晃)に自分のところに転院させて欲しいと頼むが、古手川は首を縦に振らなかった。その時、都倉の携帯に安藤から連絡が入り、切羽詰まった様子で「今から病院の方にきていただけませんか」と言う。泉田病院に戻った都倉に伝えられたのは、公開オペをやって欲しいということだった。都倉は迷いながらも真理子だったら公開オペをしてもいいと答える。安藤はすぐさま古手川の病院に駆けつけ、了承を得る。公開オペ当日、多くの医師や医療ジャーナリストたちが集まる中、都倉は見事に手術を成功させる。手術後、由希子のもとに葉子がやってきて、都倉へのお礼の手紙と都倉の母が写っている写真を由希子に預けるが、その写真を見た由希子は驚愕。そこに、都倉が通りかかる。言葉も出ず、ただ都倉を見つめる由希子。不審に思った都倉は写真を手に取って見るが、そこには…!?
EPISODE 6
彼が動き出す
樋口功一(佐藤二朗)が「息子の真一(中根大樹)がアスレチックジムから転落して意識がない」と、泉田病院に飛び込んでくる。離婚した樋口が息子に月に一度会っていた日に起こった事件だった。都倉(織田裕二)が応急処置を施し、様子を見ることに。そんな中、都倉のもとに、真理子(高林由紀子)の意識が戻ったとの連絡が入る。都倉は真理子の病室に行き、緊張しながらも決意して昔の写真を真理子に見せ、慶一郎(長塚京三)について尋ねる。すると、真理子は「隆君のお父さんです」と衝撃の真実を告げた。その頃、慶一郎と俊介(阿部寛)は慶明医大の小笠原彰教授(津嘉山正種)の部屋にいた。公開オペでの成功を褒める小笠原に、俊介は都倉のおかげだと言うが、慶一郎はそのことが気に入らず、ことさら執刀医を持ち上げる必要はないと話す。さらに、小笠原から医師会の役員に推薦する代わりにまたドクターを預かって欲しいと言われ、喜んで引き受けるという慶一郎に、俊介は納得できないでいた。その後、由希子(松雪泰子)が忠志(佐戸井けん太)の部屋にいると、慶一郎が入ってくる。由希子は普通に接してくる慶一郎を見て、憎しみが込み上げる。そして、忠志を診察しようとする慶一郎を思わず拒絶してしまう。一方、都倉は本当に慶一郎が自分の父親なのか確かめるため、慶一郎のヒゲを採取し、DNA鑑定に出す。結果、親子関係が判明し、都倉はショックを隠しきれなかった。そんな中、泉田病院では外科主任の俊介と事務長の安藤(石黒賢)の経営方針に対する意見の対立が激化する。安藤は慶一郎から、サイドビジネスの赤字経営について厳しい言葉を投げられていた。追い詰められた安藤に、都倉は「立て直しに協力する代わりに1000万円用意して欲しい」と言う。後日、都倉にクビを言い渡す慶一郎だったが…。