NOTHING／ナッシング

経済的な問題や仕事のプレッシャーで、マヌエルの創作活動は危機的な状況だ。すでに出版社と契約を結んでいる本の執筆にも取りかかれないまま、前金はすでに使い果たしてしまった。この困難の最中、家庭生活に突然訪れた変化によって辛い現実と向き合わざるを得なくなるマヌエル。それによって、人生がすっかり変わることになる。

セルサの死に大きなショックを受け、彼女の死が引き起こした混乱の中をどう生きていったらいいのかわからなくなったマヌエル。残りの人生を孤独に過ごすことを恐れ、過去の恋人との関係を再燃させようとする。同時に、頑なに雇って欲しいと言い張る若いパラグアイ人の女性をセルサの後任にすることを考え始める。

アントニアはだんだんと仕事における役割を確立していく。マヌエルも新従業員としての彼女のパフォーマンスの向上をはっきりと実感し始める。だが、やがて、アントニアとの親密な関係が人間関係において軋轢を生み始めていることに気づくのだった。

依頼された本の完成が近いことを示す証拠を出版社から何度も要求され、マヌエルはこれ以上誤魔化しきれない状況に陥っていた。そのうえ、経済状況も悪化する一方で、破産の危機に瀕していた。人生を諦めかけたその時、アントニアがタイムリーなサプライズで彼を救い、生きることへの希望を取り戻させる。

マヌエルは無事に本の執筆を終え、友人の著名なニューヨーク在住ジャーナリスト、ヴィンセント・パリシを出版記念パーティーに招待する。ブエノスアイレスに到着したヴィンセントは、アントニアの存在がマヌエルの人生に与えた素晴らしい変化を目の当たりにする。