マジェスティック
1951年ハリウッド。赤狩りの吊し上げが加速する中、新進脚本家ピーター・アプルトンにも、その余波が及んだ。突然、共産主義者と名指しされた彼が審問会に呼びだされたのだ。「これで僕のキャリアもおしまいだ」。がっくりきたピーターは事故を起こして川に転落。気がつくと見知らぬ海岸に打ち上げられていた。心優しい老人に助けられたピーターは、老人の住む田舎町ローソンに案内されるが、大きな戸惑いと不安に襲われる。ローソンの町人は、全員が彼のことを知っていたのだ。だが、彼には自分が誰なのか分からない。事故のショックですべての記憶を失ってしまったのだ。「ルーク!よく戻った。生きていると信じていた、我が息子よ!」涙ながらにピーターを抱きしめる老人ハリーは、第二次世界大戦に出征し、1944年以来行方不明になっている息子ルークと瓜ふたつのピーターを混同していた。戦場で8名の命を救って名誉勲章を受け、その後消息を絶った町の英雄ルークと……。大戦以来62名もの戦死者を出したローソンの町の住人にとって、死んだと思われていたルークの生還は、いまや希望を与える奇跡に違いなかった。そして、ルークの父ハリーは息子を失った悲しみから閉じていた「マジェスティック」という映画館を再建しようと決意する。最愛の息子ルークが、かつてこよなく愛していた「マジェスティック」に再び息吹を与えるために。そんな中、ルークの生還を聞き、都会で暮らしているかつての恋人アデルが帰郷する。ピーターにルークの記憶はないが、優しく魅力的なアデルに惹かれずにいられない。ハリーやアデル、町の住人たちの温かい気持ちに触れたピーターは、たとえ記憶が戻らなくてもこのままルークとしてこの町で生きていこうと心に決める。しかしその矢先、思いがけない事件が起こる……。
出演 ジム・キャリー、マーティン・ランドー、ローリー・ホールデン
監督 フランク・ダラボン