看護師養成施設「ナイチンゲール･ハウス」で実習中、患者役の看護学生が突然苦しみだして死亡。元々の患者役が体調不良となり急遽指名された学生だった。ロンドン警視庁犯罪捜査課から現場に派遣されたダルグリッシュ警部は毒殺を疑い捜査を始める。学生や職員への聴取を進めるうちに、施設内の複雑な人間関係や秘密が次々と明らかになっていく。そして翌日、最初に患者役をするはずだった学生が変死で発見される―――。

2人目の犠牲者ファロンは1人目の学生とは別の毒物によって殺されていた。バラ用殺虫剤が発見され、持ち主の教官とお手伝いのモラグに疑惑の目が向けられる。一方、最近死去したファロンの担当患者の母親から新たな情報が入る。昔ナチスの軍事裁判に立ち会っていたその患者は入院中、誰かに再会していたのだ。元軍医だった顧問医、図書館からファロンの名で借りられていた「ナチスの軍事裁判記録」。点と点が線でつながっていく。そんな中、ダルグリッシュ警部の命が狙われる事件が発生する。

ある障がい者支援施設で専属聖職者のマイケル神父が急死した。長年の知人である彼から相談事があるとの謎めいた手紙をダルグリッシュが受け取った直後のことだった。施設を訪ねたダルグリッシュは、以前にも入居者の不審な事故死が起きていたことを知る。疑問を感じたダルグリッシュは地元警察と協力しながら独自に捜査を開始する。敷地内にそびえる“黒い塔”で瞑想する謎めいた所長や、それぞれに心の闇を抱える入居者たち。果たして神父の相談事とは何だったのか?

転落死の入居者、神父に続き、さらにまた別の入居者までもが死亡する。相次ぐ不審死を受け、所長は別の施設からの買収オファーを受け入れることを決意し、自身の留任を問う採決をする。すると投票から外されたマギーが首をつって死亡。そんな状況でも恒例の巡礼ツアーを決行しようとする所長に疑いの目を向けるダルグリッシュ。施設の庶務を手伝う元外交官補の過去をたどるうち、巡礼ツアーの恐るべき秘密が明らかになっていく…。

教会の聖具室には不似合いな喉を切り裂かれた2人の遺体が発見される。1人は近所のホームレス、もう1人は元国務大臣の準男爵ベロウン卿だった。捜査を始めたダルグリッシュは、卿の周りで不可解な出来事が次々と起きていたことを知る。卿と関係があったと噂された女性は妊娠した上に溺死。それを受けて卿は議員を辞職。さらに卿の前妻は、卿が運転する車で交通事故死を遂げていた。ダルグリッシュは名門ベロウン家に足を踏み入れ、捜査のメスを入れる。

教会で新たにバーンズ神父の遺体が発見される。未知の犯人が再び現場に戻ったのだ。ダルグリッシュがさらなる調査を進めていくと、ベロウン家の複雑で謎めいた人間関係が次々と明らかになっていく。バーバラ夫人は邸宅に出入りする従兄弟の産婦人科医と不倫中。ベロウン卿の弟のドミニクは邸宅の使用人と不自然なほどに親しい。そして突如、事件の審問に現れた産科医院で働く謎の看護師。やがて捜査は急展開を迎え、教会に立てこもった犯人とダルグリッシュは直接対決する。